☆その後の持ち主☆
その後
無事に家に着いた持ち主は
2日間に渡る
腹痛、下痢、嘔吐に
見舞われました。
それだけでなく
体調不良のせいか
いつもは、ならない時差ボケに
1週間近く苦しみました。
弱ってしまったのか
その後にひいた風邪も
なかなか治りません。
それでも持ち主の心が元気なのは
シンガポールからバルセロナへの
エリーとの旅がとても楽しかったからだと思います。
☆帰国☆
帰り便では寝てばかりの
持ち主は、感覚的にはかなり早く
日本に到着してしまいました。
エリーとの楽しかった旅も
これでおしまいです。
なんとも寂しいです。
空港からは
持ち主は成田エクスプレス
エリーはバスに乗るため
ここでお別れです。
ふたりは、さようならをしました。
持ち主は、少し感傷的になっていましが
やって来た成田エクスプレスが新型だったので
テンションが、少しだけ上がりました。
成田エクスプレスの中で
持ち主は写真を見て、しみじみ旅を思い出していました。
その瞬間です。なんと成田エクスプレスが止まったのです。
それから、動き出すまでに1時間。
結局、トラブル女子の持ち主は、行きだけでなく帰りにも電車が止まり
最後までトラブルに見舞われたのでした。
☆戦い☆
持ち主の隣のおじさんは
大きめなので
持ち主側の肘掛けを使うことは
仕方ないかもしれません。
でも、おじさんの肘は
だんだんと持ち主の陣地内を
浸食するようになったのです。
持ち主は、自分の座席なのに
なんだかとっても窮屈です。
ちょっとイラッとしたので
おじさんの肘を持ち主の肘で、追い返してやりました。
しかしおじさんはめげず、何回も何回も
持ち主の方に肘を大きく張り出そうとするのです。
その度に持ち主は、おじさんを追い返します。
おじさん、いいかげんにあきらめてください。
持ち主は思っていました。
前の席は、スキンヘッドにガタイのよい2人組のおじさんでした。
どうやらこの2人、カップルのようです。
話すときもごはんを食べるときもとっても仲良しで
いつもいちゃいちゃしているのです。
そんな2人の隣に座ったのは
同じくスキンヘッドで、ガタイのよいお兄さんでした。
端から見ると、仲良し3人組のように見えますが
実情は、カップル+1です。
あちらもきっと、とってもやりにくかったと思います。
☆隣の人☆
飛行機に乗り込むと
まだまだ席は空いています。
持ち主とエリーは
窓際3人席の通路側でした。
この窓際に座る人が
巨大な人でないことを祈ります。
前の席は、がたいのよい
スキンヘッドの男性2人組で
後ろもおじさん3人組です。
みんな、大きくてハムのようです。
お隣には、ぜひハムじゃない人を希望します。
ミラノに着くと、ぞくぞくと乗客が乗り込んできます。
バルセロナでは空席だった持ち主の隣の席も埋まるでしょう。
持ち主たちは、どうか小柄な人が来るようにと、願っていました。
でも、なかなか隣の人はこないのです。
もう、そろそろ乗り込む人も終わるかと思われてきました。
もしかして、隣は空席かもしれません。そうすると、とてもありがたいです。
そんな期待をしていたら、太ったおじさんが
持ち主たちの横に立ち止まったのです。
ハムおじさんです。
おじさんは、持ち主の隣の人でした。
一番望んでいなかった大きめタイプです。
そしてこの後、持ち主とおじさんの14時間に渡る陣地取り合戦が続くのでした。
☆凱旋門の呪い3☆
夕飯の店をでて
歩きながら持ち主は言いました。
地下鉄、乗っちゃう?
そうなんです。
あんなに悩んで回数券を買ったのに
バルセロナは
ほとんどが歩いて行けるところ
ばかりだったので
回数券がまだ残っているのです。
乗っちゃうか?
いつもなら、歩いて帰る道のり、2人は贅沢をすることに決めました。
この選択が、最後の呪いの序章となることも知らずに。
2人のホテルは、地下鉄の駅テティアンから数分のところにありますが
でも、これまでテティアンの駅を利用したことは、ありませんでした。
地下鉄テティアンの駅に着き、地上に出た瞬間、
2人は地下鉄に乗ったことを後悔しました。
なぜなら、自分たちのホテルがある方向が、まったくわからなかったからです。
そうなんです。この付近は、碁盤の目状に道が広がっているため
道の太さは同じで、地図を見ても、どこにいるかがわからないのです。
2人は焦りました。周りはまっくらなのです。
しかし、思い出しました。この付近には、あの呪いの凱旋門があるはずです。
凱旋門を背にした左手側に、ホテルがあるはずです。
持ち主たちは、道が交差した場所にある広場まで行きました。
時刻は19時すぎ、真っ暗な広場の中は、なんだか危険な香りです。
持ち主が、周りを警戒し、エリーが凱旋門を探します。
あったよ!
エリーの声に導かれて振り向くと
真っ暗の闇の中に、ぼんやりと凱旋門が浮かんでいました。
凱旋門の呪いで迷ったのか、凱旋門のおかげで道がわかるのか
どちらなのかは謎なのですが、2人はホテルへとたどり着くことができたのです。
☆レンジ☆
牛を見てからは
小物を買ったりお店を覗いたりして
持ち主たちは
最後のバルセロナを楽しみました。
でも、2人の悩みは夕飯です。
まず、現金があまりありません。
次に、疲れているので
あまりパワーを
使わない店に行きたいです。
でも、一番の問題は、食べたいものが
まったく思いつかないことだったのです。
よいお店はないかと、見回していると、不思議な店を見つけました。
棚に、いろんなお惣菜がパックに入って売っています。
そして、その向こうには、椅子とテーブルとレンジが並んでいるのです。
どうやら、お惣菜を買ったら、レンジで温めて食べられるようです。
これは、疲れた2人にぴったりです。値段もチープです。
お店のおばさんも、真剣に話し合う持ち主とエリーを、ニコニコ見ています。
そこで2人は夕飯はこの店に決定し
パスタと、不足がちだった野菜とスペインオムレツを購入しました。
レンジでチンすると、ほかほかです。
味もそこそこです。
こんな風に、2人の旅の最後の夕飯は終わりました。