お昼の時間です。
お弁当を持ったお友達が、ぼくの持ち主を見て言いました。
親切
え?
持ち主は、お友達に親切なことはなにもしていません。
びっくりして聞き返すと、お友達はきょとんとした顔で言いました。
チンしてくる。
ああ。疲れてるんでしょうか。持ち主。
その日、ぼくの持ち主は、仲良しのお姉さんと牛タン屋さんに行きました。
そして、持ち主は牛タン定食。
お姉さんはタンシチューを注文しました。
ふたりで話に花を咲かせながら、美味しいタンを食べます。
それは、ほとんど食べ終わる寸前でした。お姉さんが言ったのです。
ねぇ、これって、カレーだよね?
お姉さんの頼んだタンシチューが、カレーだったのではないか、と言うのです。
確かに、さっきからスパイシーな香りがします。
持ち主は、お姉さんのタンシチューを、味見します。
カレーです。明らかにカレーです。
カレーだよ!なんで、気づかなかったの?
問う持ち主に、お姉さんは遠い目をして言いました。
カレーだってね、タンシチューだ、タンシチューだって思って食べると
タンシチューに思えてくるのよ。