朝起きると、ぼくの持ち主は

憂鬱そうに言いました。

ビーズ大魔王がおわしました。

なんですか？そのビーズ大魔王って？

ぼくが尋ねると持ち主は答えました。

調子にのって、ビーズをやりすぎると

肩と首の上に大魔王がいらして

たいそう重いのだ。

関連する大魔王様には、編み物大魔王様がいる。

ああ。肩がこってるってことですね。

ぼくの持ち主は、一人暮らしゆえ

たいそう気ままです。

そんな持ち主が

一番気を使っているのは、防犯です。

エレベーターからでるときは

まわりを見渡し

ドアの前でもたもたしないように

鍵も手もとに用意しておきます。

その日も、そんな感じに家に到着した持ち主はドアを開けました。

すると、真っ暗な玄関に人のような影。

持ち主は、ぎゃーっと叫びました。泥棒でしょうか？

少したってわかりました。

人影かと思ったのは、玄関にびろーんと干していたタオルではないですか。

持ち主は、ほっとしながらいいました。

こりゃ、ほんものの泥棒も驚くね。洗濯物はここに干そう。

きょうは、節分です。

節分といえば、ぼくの誕生日です。

無事に８歳になりました。

それで、ぼくの持ち主が

ケーキを焼いてくれました。

ちょっとコゲました。

なんだか、形もくずれました。

でも、味はなかなかなんだそうです。

でも、なんでチョコレートケーキなんですか？

まさか、バレンタインデーに向けた試作とかじゃないでしょうね。