ぼくの持ち主は
しばしばおかしな聞き間違いをして
人々を驚かしつつ、喜ばせていますが
それはなにも、持ち主に限って
起ることではありません。
その聞き間違いは
持ち主が寒くて、ストールを肩に
かけていたときに起こりました。
それを見たお友達が
持ち主に言いました。
あったかそうだね。
うん。前、バーゲンで買ったんだよ。
すると、お友達は驚いたように言いました。
え?バーレーンで?
バーレーンに行く人って、あまりいないと思いますが・・・。
ぼくの持ち主が
駅のホームに立っていると
向こう側のホームにいる
おじさんに目がいきました。
おじさんが
不思議な動きをしていたからです。
右足を横に出してから
両膝を曲げ、そのあとに
右足に重心をかける。
足を閉じて、左足を横に出して、両膝を曲げ、そのあとに左足に重心をかけて、足を閉じる。
この動きを、えんえんと繰り返しています。
なんの動きなのでしょうか?
その時、ホームに電車が入ってきました。
顔をあげたおじさんは、ずっとおじさんを観察していた持ち主と目が合いました。
おじさんは、すばやく目をそらすと、そそくさと電車に乗り込んでいきました。
おじさん、ちょっと、恥ずかしかったのでしょうか?