ぼくの持ち主のポストに

手紙が入っていました。

持ち主母からです。

しかし封筒を見た次の瞬間

持ち主は吹き出しました。

持ち主は、横文字の名前がついた

マンションに住んでいるのですが

持ち主母の手紙の住所部分には

その横文字のマンション名と

なぜかその下に「マン」

とだけ、書いてあったのです。

きっと、持ち主母が

うっかりマンションのションを書き忘れたのだとは思いますが

○○マンなんて、スーパーマンとかウルトラマンの種類みたいです。

それが、封筒の表書きに書いてあるのです。

見れば見るほど、楽しいです。

思い出すだけで、まだまだ笑えます。

きょうは、ぼくの持ち主の

お誕生日です。

それなのに

寝起きの頭の持ち主に

衝撃的な事実が知らされたのです。

なんと、めざましテレビの占いで

さそり座が

ビリだったのです。

ショックを受けた持ち主は

それでもがんばって

会社へ行きました。

ところがところが。

電車に乗れば座れるし。

改札では押されることなく出られるし。

信号はすぐに青になるし。

よいことばかりです。

おまけに、大量にたまっていた仕事がすべてかたづくという

すばらしいこともありました。

そして、たくさんのお友達からおめでとうのメールをもらい。

おやつももらい。

地味ですが、なかなかにすてきな誕生日だったのです。

最近、残業続きで

お疲れ気味だったぼくの持ち主。

そんなときは、脳内も少し

おかしくなっているものです。

ぼんやりと

電車のつり革広告を

見ていた持ち主は

次の瞬間、凍り付きました。

なぜなら

インドがたまる。

と、書いてあったからです。

インドがたまる。

一体、どういう意味なのでしょう？

気になります。

持ち主は、もう一度広告を見てみました。

すると、上に

Suicaでお買い物すると

と、書いてあります。

Suicaでお買い物するとインドがたまる？

持ち主は、身体をねじりました。すると読めました。

Suicaでお買い物すると

ポイントがたまる。

「ポ」の文字が、つり革で見えなかっただけで、持ち主は平板な現実の世界から

魅惑的な虚構の世界へと小さな旅をすることができたのでした。

その昔、ぼくの持ち主が

働いていた会社の横に

ダックという名の

喫茶店がありました。

そこは

70年代風なたたずまいで

女子がふらりと一人で入るには

勇気が必要な雰囲気の店でした。

４人ほどいる男性店員さんも

個性的な風貌で、彼らが着用する

赤と緑のスモック型制服も

なんとも印象的でした。

この素敵なお店で人気メニューだったのは

チーズそぼろというトーストメニューです。

パンにそぼろとチーズが乗っているのですが

この味付けがなかなかでした。

ふと、このことを思い出した持ち主は

このトーストを再現してみることにしました。

食べてみると、まあまあなのですが、ダックのチーズそぼろまででありません。

これには、まだまだ改良が必要なようです。

ぼくの持ち主には

すてきなお友達がいます。

ベストフレンドです。

でも、じつは彼女とは

それほど親しくはありません。

でも、なぜベストフレンドなのか

というと、トイレのタイミングが

同じことが多いのです。

ほぼ、毎日トイレで会います。

多い時は、３回くらい会います。

最近は、トイレで会うと

会いにきたよ！

と、どちらかが言い、

待ってたよ！

と、どちらかが応えます。

トイレタイミングが同じということは、たぶん、気が合うと思います。

本当のベストフレンドになる日も近いかもしれません。