さぁ、恒例行事の時期が
やってきました。
そうです。
ぼくの一年の汚れを
落とす時です。
それは前日のことでした。
お友達の娘さんである
小学生の女子が
あろうことか
みかんを食べた手で
このぼくを触ったのです。
お嬢さん、あなた今、みかんを食べた手でぼくを触りましたね？
ぼくが尋ねると、彼女はニコニコして元気に答えました。
うん。さわった〜。黄色くなったかな？
お嬢さん、いくらあなたが可愛くてもいけません。
ぼくをこれ以上汚すのは。許されないことです。
と、言う訳で、ぼくは浮いてます。洗剤の中を。
来年には、少しは白っぽくなったぼくを、お目にかけられるかもしれません。

朝、電車に乗り込んだ
ぼくの持ち主。
たまたま空いていた
つり革をつかんだとき
気づきました。
隣に立っていたのは
なんと隣のグループの
営業さんだったのです。
その偶然に
お互いびっくりしながら
これはもう、運命にちがいないね。
と、話しました。
しかし、彼は既婚者であり、ステキな未来を描くことはできません。
ああ。持ち主の本当の運命のひとはどこにいるのでしょうか？
いるのなら返事をしてください。すぐに迎えに行きます。

隣の席の営業のお兄さんが
クリスマスプレゼントを
くれました。
ぼくの持ち主が
欲しがっていた
吸盤付きスタンドの猫です。
ここは俺がくいとめた・・・
お前は幸せになるニャ・・・

と、言いながら、苦しそうに
スマホを支える猫なのです。
買ってきてくれたお兄さんの優しさに
いつも仕事の邪魔ばかりしていることを
持ち主は反省したのでした。

帰り道の電車の中で
ぼくの持ち主が
こほっと咳をしました。
すると、仲良しのお姉さんから
メッセージが来ました。
今、咳した？
なんということでしょう？
お姉さんは、超能力者？
続けて、メッセージが来ます。
もしかしたら、同じ車両にいるかも。
そうでしたか。なんという偶然！
そこで、持ち主がメッセージを返します。
じゃぁ、せーので身を乗り出しましょう！
と、いうことで、せーの！のタイミングで身を乗り出したところ
なんと、同じ車両の同じ座席の端と端に座っていたことが分かりました。
すごい偶然です！うっかり爆笑してしまいました。

今日は、クリスマス。
ぼくの持ち主とそのお友達は
会社のお昼時間に
簡易クリスマス会をしました。
近くにデパ地下があるので
そこで、チキンとケーキを
買ってきました。
それを食べただけだったの
クリスマス会だったのですが
意外と盛り上がりました。
これは、なかなか楽しいので
つぎも何かやろうということになりました。
刺身を買って来て手巻き寿司大会や、お汁粉を食べる会。
想像するだけで、ワクワクしてきます。

今日、ぼくの持ち主は
お友達と３人で
牛タンを食べてきました。
お昼を食べているとき
牛タンの話をしていたら
急激に食べたくなり
クリスマスイブだというのに
女３人で行ったのです。
牛タンは美味しくて
お腹はいっぱいになり
お茶を飲んで盛り上がり
３人で大騒ぎしました。
で、すっかり忘れていました。
今夜がクリスマスイブであるということを。

銀座をフラフラしていたら
アンティークのイベントを
やっていました。
それほどアンティークが
好きでたまらないわけではない
持ち主ですが
なにか気になるものはないかと
フラフラ見ていました。
すると
可愛らしいカップ&ソーサーを
見つけました。
値段は、可愛らしいものではなかったのですが
買おうと思えば買える値段です。
お店の人が、どんな商品でどういう物なのかを
説明してくれますが、そんなことはどうでもいいのです。
カップとソーサーのバランスが悪く、セットではないようですが
その微妙な不安定さもなんか好きです。
で、買ってしまいました。
セットではないことを確認したら、値引きしてくれましたが
たぶん、それでも高い買い物かもしれません。
でも、いいんです。
気に入ったら買った方がいいんです。
持ち主の大切な物が、また増えました。

ぼくの持ち主の
なかよしのお友達が
お家を建てました。
いつも世話になっているお友達。
新築祝いに
なにを送ろうかと
持ち主は悩みました。
ふと思いついたのが
ネットで見た
生ハムの原木です。
ワインが好きで、美味しいものが大好き。
それに原木なんてなかなか買わない！
天井から吊るしたら、インテリアにもなる！
つぶやきながら持ち主は
ドカンと一本
生ハムの原木をお友達に送りつたのです。
そして、大興奮のお友達から、お礼の連絡がありました。
なかなかよい贈り物をしたと、ご満悦の持ち主。
でもそれは、持ち主のお友達だから喜んだのであって
一般的な感想ではないことを、持ち主にはご理解いただきたいものです。

ぼくの持ち主
この１年は
炒めたり煮たりくらいで
あまり料理をしませんでした。
でも、ここに来て
少し料理をつくるように
なりました。
ピクルスや豆のサラダ
スープに鶏ハム。
常備できそうなものが中心ですが
作っていれば楽しいです。
そしてなにより美味しいです。
料理をしようと思うのは
きっと心に少しだけ
余裕が出て来たからだと思うのです。
それは、持ち主にとってよい傾向であることにはちがいありません。

お昼時になると
なにを食べるか大騒ぎ。
初めての場所に出かければ
みんなで遠回りして
探検してくる。
飲み会になれば
食べ物を取り合って
はしゃぎまくる。
そんな彼らを見て
若手の営業くんがいいました。
中学生みたい。
ちなみに、中学生営業たちの平均年齢は、４０代半ばです。