ぼくの持ち主がお勤めする会社では、協賛しているライブ会場のご優待チケットが売られる時があるんです。
いつもは知らない外国の人とかなので、今回もそれほど期待していなかったのです。
情報を開いた次の瞬間、持ち主の胸は高鳴りました。
なぜならば今回のご優待は、持ち主が大好きなカジヒデキ氏のチケットだったんです。
終業チャイムと共に、速攻で取りました。取れました。
ラッキーです。うれしいです。いいことあるもんです。
そういえば、きょうは蠍座一位でした。
ぼくの持ち主の個展が無事に終わって一週間。
持ち主は今、危険な時期なんです。
どんな危険かって?
燃え尽きそうになる危機です。
やり遂げた達成感と共にやってくる虚無感。
ぼーっとしていると、なんだかすべてがつまらなくなるんです。
もう、なにもかもが嫌になるんです。
これです。これこそが燃え尽き症候群です。
持ち主は、いかん!と、思い直して楽しい事を考えるようにします。
でも、だんだん楽しい事も思いつかなくなっていき、ふたたび憂鬱な気分に陥りいます。
そしてまた、いかん!と反省します。
ずっとこの繰り返しです。
これを乗り越えれば、また通常の日々がもどってくるはずです。
とりあえず、日々の楽しみとして、入浴剤を買うという贅沢をしています。
その日、横浜方面の電車が止まっていたので、お昼時間は電車遅延の話になりました。
だいたい、挟まる、止まる、倒れる、止まる、倒れる、止まる、倒れる、止まる。だよね。
と、持ち主が言うと、中央線を使用する二人のお友達も爆笑しながら声をそろえて言いました。
そうそう。挟まる、止まる、倒れる、止まる、倒れる、止まる、倒れる、止まる。
すると、京浜東北使用のお友達が不思議そうに、それなに?と、聞くので持ち主たちは設明しまし。
まず、誰かが電車に飛び乗った時にモノが挟まって電車が止まります。
次に、挟まり解消のために止まった満員電車の中で、誰かが気分が悪くなって倒れます。
すると、その人を救助するためにまた電車が止まります。
その救助のために止まった満員電車の中で、再び誰かが気分が悪くなって倒れます。
その人を救助するためにまた電車が止まります。
救助のために止まった電車が原因でバタバタ人が倒れていくわけです。
お友達は納得していました。
はさまる。とまる。たおれる。とまる。
なるべく、挟まれないように気をつけることが鍵でしょうかね。
ああ。ゴールデンウィークが終わります。
ぼくの持ち主の休みは、カレンダー通りで、3連休、出勤、3連休、出勤、土日というパターンのため、あまりゴールデンウィーク感がありませんでした。
個展準備に追われていたせいもあるでしょう。
でも、あんまり家にばかりにもいけないかと思い、持ち主は家の近くを散歩することにしたのです。
家を出て歩き出すと、驚くほどに人がいません。
お店も休みばかりでシャッターがおりていて、車も時々通るくらいです。
天気は快晴で気持ちいい日なのに、人がいないとなんとも寂しいです。
自分だけ異世界に迷い込んだような感じです。
むかし、こんな映画を見たな。と、楽しいやすみのはずなのに、持ち主は少々メランコリックになったのでした。
ぼくの持ち主が、仲良しのお兄さんの席の近くを通ると、なんと持ち主の大好物ラクサのパッケージが目に入りました。
ラクサ!どうしたの??
持ち主が大興奮で尋ねると、お兄さんは冷めた表情で言いました。
あげるよ〜。
どうやら、シンガポール出張した方のお土産らしいです。
ほんと?嬉しい!持ち主が大喜びしていると、近くにいたお兄さんも、
よかったらどうぞ。
他のお兄さんも、
よかったら
と、合計4つのラクサが持ち主の手元に集まったのでした。
ああ。こんなに美味しいのに!
と、持ち主はホクホクでしたが、お土産を買ってきたお兄さんだけは、なんだかちょっと寂しそうな顔をしていました。
大丈夫ですよ、お兄さん。持ち主が美味しくいただきますからね!