春が来る


持ち主がこれまで住んでいたのは東京の郊外で緑もそこそこ多かったんです。でも持ち主は、季節の移り変わりにそれほど興味がなかったんです。特に芽吹きの春は、アレルギー体質の持ち主が大嫌いな季節です。

いま住む場所は都心部の割に緑が多いです。歩き回ることが多いせいか、季節の移り変わりを肌で感じます。
引っ越してきた時は木々が紅葉を始め、とても美しかったことを覚えています。その後大量の落ち葉によって、裸となった木々は冬らしく寒々しく、枝々の間から見える太陽もなんだか白っぽかったのです。

歩きながら持ち主は、春になってこの枝が緑でいっぱいになったら、さぞ綺麗だろうな。と、めずらしく春を思いました。

石畳の間から緑の雑草が芽を出し始めました。そしてたくさんの木々に新しい芽がつき始めました。それまで茶色かった枝々に赤い芽がついたのです。色です。色が出てきたのです。

ああ、春が来るのですね。

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