ジャムが食べたい


その日ぼくの持ち主は、電動工具を借りたくて実家に連絡したのです。
持ち主母が工具を送るついでに、なにか必要なものがあるかとたずねるので持ち主は言いました。

イチゴジャムが食べたい。

持ち主母は、自他共に認めるジャム作りの名人です。持ち主はイチゴとあんずとマーマレードが特に好きです。

あらっ。今年イチゴジャム作ってないわ〜。イチゴ買わなきゃ〜。

持ち主母は、なんとジャムを作って送ってくれたのです。なんて優しいんでしょう。

ところが。
朝、トーストの半分にハムをのせ、半分にジャムを塗ろうと、持ち主はいそいそ朝ごはんを用意していました。しかしトーストを焼きながら、ジャムの瓶を開けようとするのですが、固くてまったく開きません。

まぁ、蓋を温めておけばそのうち開くだろうと瓶の蓋を熱湯につけました。
焼けたパンにバターを塗って、紅茶を入れて、さぁ、今度こそジャムを!と思ったのですが、温めた瓶の蓋もびくともしません。

ああ。パンが冷めてしまう。と、とりあえず持ち主はハムをのせて半分トーストをかじります。

そしてもう一度チャレンジ。
まったく開きません。

そこで、瓶の開け方を調べていろいろ試しますが開きません。びくともしません。
ガムテープを使ったり、輪ゴムを使ったりしてもまったく開きません。

手のひらは真っ赤です。パンは冷え切っています。
もう、このジャムは食べられないんじゃないか?そう絶望したその時、瓶の蓋にかすかななにかが。

いける!持ち主は一気に力を入れます。

パカっという音と共にイチゴジャムの甘い香りが漂います。
あいた〜!!

持ち主は大喜びで冷めたパンにジャムを塗って食べました。
大変美味しかったです。

しかし持ち主母、一体どんな力で蓋を閉めたんでしょうか。

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