今朝、玄関を飛びだした持ち主は
めずらしくダッシュです。
のびかけの髪を
小さなだんごにしようとして失敗し
時間を大幅にロスしたのです。
走りながら前方を見ると
あの人が走っています。まずいです。
持ち主が目安にしたあの人とは
時々、電車のベルとともにダッシュで乗り込んでくる女性です。
ヒールにタイトスカートという装いで、息も切らさずに飛びこんでくる
そんな彼女のことを、持ち主はひそかにアスリートと呼んでいます。
そのアスリートが前を走っているのです。危険な時間なのでしょうか。
持ち主は走りながら時間を確かめました。
すると、まだ時間に余裕があり、走るほどではないようです。
駅の手前で、持ち主は歩きだしました。けれども、アスリートは走り続け
そのままホームの向こうまで行ってしまいました。
アスリートの目的は、電車に間に合うために走るのではなく
ただ走ることなのかもしれないと、持ち主は思いました。