背中合わせ

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それは、ぼくの持ち主が
熱心に仕事をしていたときの
ことでした。
持ち主の後ろでは
営業のAさんが
大きな声で楽しそうに
電話をしていました。
Aさんは、ガハガハ笑いながら
話しているのですが
その時、持ち主は気づいたのです。
持ち主の斜め前方には
営業のBさんがいるのですが
この人も、携帯で電話をしていました。
そのBさんの受け答えが、どうもAさんとシンクロしているのです。
持ち主は、ふたりの会話に耳を澄ませました。
すると、確かにAさんは言ったのです。
Bさん、お願いしますよ。
電話を切ったAさんに
Bさん、いるよ。
持ち主が声をかけると
背中合わせのふたりは同時に振り返りました。
そして、お互いを見つけ、苦笑いしたのです。

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