ドーンドーンと、花火の音がします。
残念ながら、ぼくの持ち主の家からは見えません。
でも、この音を聞くと持ち主は思い出すのです。
その頃持ち主は、実家に住んでいました。
当時の持ち主の日課は走ることで、毎日坂道を黙々と走っていました。
ある時、走っていると、ドーンという音がしたのです。
持ち主が思わず振り返ると、なんとそこには大きな花火が打ちあがっていたのです。
あたりは真っ暗で人もいず、
ただただ花火が上がっている様は、とても美しかったのです。
花火の音を聞くと、あの時の衝撃を持ち主は思い出し、
なんだかちょっと苦しいような気分になるのです。