数人いる、ぼくの持ち主の血がつながらない父たちの中でも、
もっとも破天荒な人生を送る写真家のとーさん。
彼が個展をやることになったそうで、
来てくれな。
と、持ち主にハガキをくれました。
これまでの写真のイメージと違うような感じがしたので
写真、変わった?
と、聞くと、写真家とーさんは言いました。
変わってないよ。金魚ばっかり。
金魚?
持ち主が眉間にしわを寄せると、写真家とーさんは言います。
そう。金魚金魚。
俺は、自転車で行けるとこしか撮らないからな。
そこまで聞いてわかりました。
金魚ではなく、近所ということに。
写真家とーさん、そういや前歯が一本抜けている。
個展の時は、びしっと歯、いれるからよ。
写真家とーさんは微笑むのでした。