安心する〜

バックの中にいる

ぼくのおしりをさわりながら

ぼくの持ち主はいいました。

ＴＪのおしりは

やわらかくて気持ちいい。

そう言いながら、持ち主は

ぼくのおしりをむにむにし続けます。

でも、よく考えるとおかしな話です。

いい大人が、ぬいぐるみとはいえバックの中に手をいれて

ぼくのおしりをずっとむにむにさわっているのです。

困ったものです。

でも、よく考えてみれば、いつもぼくをバックにいれて持ち歩いてる時点で

持ち主はかなり変わり者なのですから、おしりをさわられることくらい

たいしたことないことなのかもしれません。

デパートで、ぼくの持ち主は

トイレに行きたくなりました。

トイレのドアを開けようとした瞬間

９歳ぐらいの女の子が

飛び出してきました。

持ち主はびっくりして

その場に立ち止まりました。

すると女の子は持ち主を見上げ

恥ずかしそうに端によけてくれました。

その上、ドアを持って、持ち主をトイレの中に入れてくれたのです。

持ち主は、彼女にお礼を言ってトイレに入りました。

なんだか、ちょっとステキな体験でした。

ぼくの持ち主の母が

持ち主家に来ていました。

持ち主母は、いつもぼくに会うと

ぼくの皮膚が薄くなったと言います。

今朝も、ぼくをじっと見つめると

持ち主母はいいました。

ＴＪ

皮膚がどんどん薄くなってるわね。

疲れてるんじゃない？

ぼく、思うんですけど

疲れているのは、ぼくではなく、持ち主母、あなたではないでしょうか・・・

ぼくの持ち主が乗換えをする萩山駅は

小さくて古びた駅です。

そんなある日

電車の側面に真剣な面持ちで

立っている少年を見かけました。

何をしているのでしょうか。

なんと、少年は

電車の側面の行き先表示板の

写真を撮っているではないですか。

この電車は、この駅で切り離しをして、それぞれの方向へ出発するため

二つの行き先が表示板に表示されているのです。

それが、鉄道マニアの心を揺さぶったのでしょうか？

彼が、俗に言う、鉄ってやつなのですね。

ぼくには

とってもステキな彼女がいます。

人間です。

お付合いして、もう２年になります。

でも、

一度もデートしたことがありません。

なぜならば、

彼女がしたいデートが

ドライブだからです。

ぼくには、車の運転は無理です。

きのう、彼女に久々に会い、デートの話になりました。

ぼくが、ドライブに連れていけないことを謝ると彼女は言いました。

がんばって、車の運転の練習をするから、ＴＪは助手席にいて。

ステキです。さすが、ぼくの彼女です。

けちけちクーラー我慢生活の

賜物でしょうか？

ぼくの持ち主の首に汗もが

できてしまいました。

汗も・・・

持ち主は、幼い頃の切ない出来事を

思い出していました。

汗っかきだった持ち主は

赤ちゃんの頃

頭の中に大量の汗もができてしまい、泣き叫んでばかりでした。

そんな持ち主をかわいそうに思った持ち主母は

思いきって持ち主の頭を坊主にしたのです。

女の子なのに・・・

そういうわけで、持ち主の幼い頃のアルバムには

坊主なのにスカートをはいた写真が残っているのです。

楽しい夏休みが

終わってしまいました。

夏休み、例年通りぼくは

ぼくの持ち主の実家で

過ごしていました。

ある日、持ち主は

持ち主母と

お出かけすることになりました。

ところが

持ち主の持ってきたバッグは

小さすぎてぼくが入りません。

困った持ち主は、ぼくを洋服のポケットにいれてみましたが、なんだか不安定です。

それから持ち主は、ぼくを紙袋にいれてみましたが、なんだか邪魔です。

そんなとき、持ち主母のバッグが目にはいりました。結構、大きいです。

持ち主は立ち上がると、ぼくをつかみ、持ち主母のバッグに入れたのでした。

持ち主母は、ぼくが入っていることを知らないまま

ぼくを目的地まで運んでくれました。

そして、目的地でバッグを開いた持ち主母は、

潜んでいたぼくにようやく気づき、そして言いました。

あらやだＴＪ。入っていたの？どうりで重いと思ったわ。

ぼく、そんなに太ってないです。

ぼくの持ち主は

クーラーをつけません。

それは、健康志向だからではなく

単にケチだからです。

そのせいでしょうか。

会社でまわりが暑いといっていても

持ち主はあまり暑いと感じません。

そんな持ち主が

あまりの暑さに耐えかねて

クーラーをつけました。

涼しいです。なんて快適なんでしょう。

暑いと何もしたくないので寝てばかりですが、これなら動き回れます。

クーラーをつけずに、ただただ寝るのと

クーラーをつけて動くのと、結果的にはどちらがお得なのでしょう。

まぁ、クーラーをつけてお昼寝してしまったら、どうにもなりませんが。

ぼくの持ち主は

とうとう日傘をなくしました。

去年から始めた日傘生活なのですが

バッグと傘

ふたつ持たないといけないせいなのか

持ちなれないせいなのか

持ち主は、ついつい日傘を

置き忘れてしまいます。

それでも、なんど放置されても

けなげに持ち主の手に戻ってきていた日傘。

でも、さすがに今回は返ってきませんでした。

なんていったて

持ち主は、どこに日傘を置いてきたかさえも覚えていないのです。

薄情な人です。

ぼくも置き忘れられないようにしなくては。

会社帰りのぼくの持ち主の目に

おばあさんの髪の毛の紫色が

飛び込んできました。

白髪なのでしょう。

きれいなパープルに染まっています。

持ち主は

ぼくをじっと見て言いました。

紫、きれいだね。

年とったら

ああいうのもいいかも。

白地だときれいに染まるんだね。TJは、紫、好き？

はい。好きです。

ん？白地？ちょっと、待って下さい。

まさか、ぼくを染めるという意味ではないですよね・・・