駅の階段を降りていた
ぼくの持ち主は
階段を登ってきた女性を見て
一瞬目を疑いました。
なぜなら、彼女が背負っている
クマの大きなぬいぐるみが
動いたような気がしたからです。
女性は、幼稚園生らしき男の子の
手を引きながら
階段を登っていました。
彼女の背負うクマのぬいぐるみは
息子さんの
お気に入りなのでしょうか?
そのぬいぐるみの足が、確かに動いたのです。
持ち主は、すれ違いざまにちらりと視線をやりました。
すると、なんということでしょう。
彼女が背負っていたのは、クマのぬいぐるみではなく
クマの着ぐるみを着た赤ちゃんだったのです。
そうですよね。
あんな大きなクマをおんぶしているお母さんなんて、あまりいませんよね。