ぼくの持ち主が

愛読雑誌ＳＰＵＲを見ていると

そこに、ソニア・リキエルの

かわいいマルチボーダーマフラーが

のっていました。

しかし、お値段が・・・

まったく購入不可能です。

そこで持ち主は

3,000円でモヘアの毛糸を購入し

マルチボーダーマフラーを作り始めたのです。

編みすすむうちに、持ち主は気がつきました。

編み方がかたくなり、マフラーが細くなっています。持ち主は、マフラーをほどきました。

その後も、編んではほどき、編んではほどきを繰り返し

マフラーは、ようやく１メートルくらいになってきました。

そんなある日のことです。

折り返し地点を越えたと余裕で編み棒を動かす持ち主の目に

あるものがとびこんできたのです。

下から、４０センチくらいのところでしょうか？

なんと、一目だけ、編み間違えているではないですか！

持ち主が叫び声をあげたのは、いうまでもありません。

６月に亡くなったぼくの持ち主の

おばあちゃんの家を大掃除したら

おばあちゃんの紫色のコートが

でてきました。

小柄で紫好きのおばあちゃんの洋服は

どれもしっかり仕立てられていて

とてもすてきな紫の服です。

身長は違うのですが

持ち主とおばあちゃんは

肩幅が同じだっため

持ち主は、おばあちゃんの洋服をたくさんもらってきました。

クラシカルなデザインがたまらないコートも欲しがると、おばあちゃんはいいました。

まだ着るわよ。でも、あたしが死んだらあげるわよ。

おばあちゃんが亡くなって、持ち主の手元にやってきたコートは

人の住まない部屋に置いてあったせいか、湿気を含んでいて、ほこりっぽいです。

持ち主は、なんだか悲しくなりました。

そして、コートにブラシをかけ、風をあてながら、大切に着ようと思いました。

台風が過ぎていったせいでしょうか？

蒸しっとはしましたが

今日はよい天気でした。

ところでぼくの持ち主は

ニュースでキャスターさんが

台風一過というたびに

台風一家を想像してしまいます。

かーさん台風と、とーさん台風に

こども台風が空を暴れまわるところを

うっかり想像してしまうのです。

一家ではなく、一過ということは、わかっているんです。

でも、やめられないのです。

会社帰り、ぼくの持ち主が

乗っている電車に

３人の女子中学生が乗ってきました。

３人は、電車の座席に近付くと

急に騒ぎだしました。

これ、やばいよ〜

ほんとだぁ。やばい〜。

どうしたのでしょうか？見ると

１人の女の子が、手に携帯電話を持っています。

どうやら、そこに座っていた人が、忘れていってしまったようです。

叫びなよ！！

ひとりがうながすと、もうひとりの女の子が、ホームに向かって大きな声で叫びました。

ケータイ落とした人、いませんかぁ？

なんていう勇気！

女子中学生の勇気に、ぼくと持ち主は、なんだか元気づけられたのでした。

今日、ぼくの持ち主は

焼肉を食べに行きました。

知り合いのお兄さんが

転勤することになったので

お別れ会なのです。

ビールを飲みながら、お兄さんは

ぼくの持ち主に言いました。

しろくまの日記の文章は

独自の世界観があって

なかなかいいねぇ。

お兄さん。その日記、持ち主じゃなくて、ぼくが書いてるんですよ。

ぼくが答えると、お兄さんは、そうだったね〜。と笑いながら、言いました。

ぼくは、ほめられてとってもうれしいです。

でも、またひとり、ぼくとぼくの持ち主の理解者が、減ってしまうのですね。

なんとも、なんとも悲しいです。

この連休を利用して、ぼくの持ち主は

やろうとしていたことが

いくかありました。

押し入れの整理。

古くなった椅子の張り替え。

作りかけのバックの仕上げ。

ボスから借りたDVD

ザ・ホワイトハウス１２話を見る。

なんと、すべてやりとげました。

えらいです！

その上、毎日２時間以上のお昼寝もできたんですから

たいへん充実した日々だったといえるでしょう。

あまりに充実しすぎていたから

ぼくを一日中枕の下で押しつぶしていたことにも、気がつかなかったんですよね。

ぼくの持ち主は、土日になると

プチひきこもりになります。

用がないかぎり

ほとんど外にでません。

そんな出不精の持ち主が

土曜日の朝に

ときどき出かけるところがあります。

それは、近所のパン屋さんです。

土曜日の朝、目が覚めるとすぐ

着替えてパンを買いにいきます。

焼きたてのパンは、もちろんおいしくて好きですが

持ち主が好きなのは、あまり町が動いていない朝にでかけるということなのです。

なんだかわくわくするのです。冒険してるみたいなんです。

同様の理由で、真夜中にコンビニへ出かけるのも魅力的です。

ぼくの持ち主が

ベランダの改造計画を思いたったのは

月曜日のことでした。

ブログ友のこまちさんや

実家の近所の人から

ゴーヤカーテンの噂を

聞いてはいたのですが

その実力をテレビで見せつけられ

持ち主は衝撃を受けたのです。

ゴーヤカーテン、涼しそうだ！

それに目かくしになる！なんて素敵なアイデア。

でも、こんな秋の始まりに、ゴーヤカーテンは無理でしょうから

持ち主は、ベランダにアイビーのカーテンを作ろうと思いたったのです。

それで、ずっと真剣に考えているのです。

それは、ベランダにどうやってアイビーのはわせるか？です。

棒をたてるとか、針金をからませるとか、ネットをはるとか、

いろいろ考えてみるのですが、ナイスなアイデアが浮かびません。

だれか、よいアイデアはないですか？

朝、会社に入るとき

いつも、ガードマンさんは

おはようございます。

と、みんなに挨拶しています。

でも、挨拶をし返す人は

ほとんどいません。

そんな中、ぼくの持ち主は

おはようございま〜す。

と、挨拶し返します。

挨拶したほうが気持ちがいいだろうと思ってするのですが

たくさんの人の中で挨拶するのは、少しだけ恥ずかしいです。

そんなある日のことです。

持ち主がいつものように、ガードマンさんに挨拶し返したあとでした。

後ろの方から「おはようございます。」という、大きな声が聞こえたのです。

その大きな声を聞いて、持ち主は、なんだかちょっとだけうれしくなりました。