その日、ぼくの持ち主は
右の鼻の中が
痛くて仕方ありませんでした。
なんていうのでしょうか？
ツーンとしているのです。
そして
違和感にしばらく耐えていたら
際限なく垂れてきました。
鼻水です。
それも、右の鼻からのみです。
水分のような鼻水が
たらたら垂れてくるのです。
右だけ鼻水がたれているということは
やはり、鼻がツーンとした感じと関係があるのでしょうか？
ぜひとも、知りたいです。

ぼくの持ち主
今日から新しい職場でお仕事です。
じつは、仕事が始まるまで
しばらく、休みを満喫していた
持ち主ですが
その生活は、怠惰そのものでした。
朝、起きられず
毎日、寝たいだけ寝ていたのです。
こんな持ち主ですから
昨晩は、大変心配になりました。
一体、明日の朝は
きちんと起きられるのだろうか？
果たして、朝が来ました。
ところが、あれほど惰眠をむさぼっていた持ち主
なんと目覚ましが鳴る5分前に、パチりと目を覚ましたのです。
そうです。要は気持ちの問題ということです。

ぼくの持ち主一家は
紅茶が好きです。
その日、持ち主母は
有名フランス紅茶店
マリアージュフレールに
行きました。
そして、お店のお兄さんが
熱くオススメしてくれた紅茶
エスプリ・ド・ノエルを
購入しました。
それは、お兄さんが持ち主母が購入した紅茶を
包んでくれている時のことでした。
持ち主母が言ったのです。
わたし、好きになるわ。
もちろん、持ち主母が好きなるのは紅茶のことです。
しかし、そのささやきは、まるで愛の告白のようだったのです。
ありがとうございます。
微笑みながら応えるお兄さんの頬が
ほんのりピンクになったようにみえたのです。

その日、ぼくの持ち主のお友達は
おおぶりのウッドビーズでできた
すてきなネックレスを
していました。
ウッドビーズは
アーモンドチョコみたいで
美味しそうです。
そこで
持ち主はお友達に言いました。
あ、アーモンドチョコついてる。
するとお友達が
どこ？どこについてる？
と、大変狼狽して言いました。
持ち主があわてて
ああっ。ネックレスのことだよ。
と、言うと、お友達はほっとした表情でこたえたのです。
ああ。びっくりした。実は、さっきまで、アーモンドチョコを食べていたんだよ。
それがくっついてたのかと思った。
なるほど。それであんなに驚いたのですね。失礼いたしました。

最近、ぼくの持ち主は
ひな祭りの歌ばかり
歌っています。
それも一部分だけです。
♪〜お嫁にいらした姉さまに～
よく似たお顔の右大臣～
でも、なんか違います。
もう一度、歌います。
♪～お嫁にいらした姉さまに～
よく似たお顔の右大臣～
気づきました。
持ち主はつぶやきます。
右大臣に、似てる姉さまって
あんまり褒め言葉じゃないよね。
ただしくは、
お嫁にいらした姉さまに、よく似た官女の白い顔
です。
しかし、♪お嫁にいらした姉様に～
ここまで歌うと、どうしても
♪よく似たお顔の右大臣～
と、歌ってしまうのです。
まずいです。人に聞かれたら、もの知らずと思われてしまいそうで不安です。

ぼくの持ち主が
電車に乗りこむと
入り口付近に
男性が立っていました。
なんの気なしにその方をみると
その方の前髪部分が
かなり素敵な白髪メッシュでした。
そうです。ちょうど
手塚治虫の漫画に出てくる
ブラックジャックみたいです。
ずいぶんとかっこよく白髪になったんだなぁ。
と、思いながらお顔を拝見すると、意外と若いです。
いえ、若いといいますか、幼い雰囲気です。
中学生か高校生でしょうか？
まさか、かなり人生に苦労しており、このお年で白髪なのでしょうか？
それとも、ブラックジャックに憧れて、白髪染めならぬ
おしゃれ白髪なのでしょうか？
気になります。大層気になります。

ぼくの持ち主が
電車に乗っていると
隣に男の人が座りました。
眼鏡をかけた
真面目そうな顔立ちの方です。
持ち主は、しばらく
ぼんやりと座っていましたが
降りる駅に着いたので
何気なく、隣の方を見ました。
そして、吹き出しそうになりました。
なぜならその方は、足を組み、右手を頬の下にあて
いぶかしげに眉を潜め、熟考しているように見えたからです。
そうです。あれです。ロダンの考える人です。
あの体勢にそっくりなのです。
隣の方は、ただ寝ていただけかもしれません。
もしかしたら、悩みごとがあって悩んでいたのかもしれませんから
吹き出すのは、大変失礼なこととは思います。
ですが、その素敵な体勢に
持ち主は、心の中からワクワクさせてもらいました。

ぼくの持ち主が
駅のホームを歩いていますと
前方に散乱したモノが見えました。
教科書やノート
財布やポーチといった
女子の持ち物です。
どうやら女子高生が
リュックの中身を
ばらまいてしまったようです。
散乱したモノに近づくと、数人のおばさまがかがんでいました。
おばさまたちは、ささっとそれらを集めて、
リュックが開いてたのね。と、優しく言いながら
それらを女子高生にわたしました。
女子高生は、ありがとうございます。と、泣きそうな表情で言いました。
よくドラマなどで、主人公が転び、カバンからはみ出たものを
容赦なく人々が踏んでいく・・・と、いった切ない画像が見ますが
現実は、なかなかにステキでした。

これまで、どちらかというと
白菜よりキャベツの方が
好きだったぼくの持ち主。
ところが最近
白菜にはまり始めたのです。
それは、持ち主が発見した
こんな簡単鍋のおかげなのです。
まず、土鍋に豚肉を敷き
その上に白菜をたっぷりのせます。
そして、お酒を少々かけて弱火にかけます。
白菜からじわじわと水分が出てきたら、ウェイファー（中華調味料）少々と
キムチ、もやし、豆腐等、お好みの具を入れます。
味付けをキムチではなく
水炊き状態にしてポン酢や胡麻ダレでも美味です。
なにより、簡単です。楽です。
忙しいあなた！
ぜひ、お試しください。白菜好きになること請け合いです。

現役時代
たくさんのチョコレートを
もらってきていた
ぼくの持ち主の父。
けれども引退後
チョコレートをくれるのは
持ち主母くらいだったようです。
それで去年、持ち主母から
お父さん
チョコレート、欲しいみたいよ。
との連絡を受け
持ち主は、チョコレートを送ったのです。
後日、持ち主は、持ち主父がチョコレートに大喜びで
それを独り占めにし、持ち主母にはひとつもくれなかった。
と、いう報告を持ち主母から受けました。
そして今年も、持ち主はチョコレートを持ち主父に送りました。
本日、そんな持ち主父から、お礼のメールとともに
不思議なメッセージが入っていました。
チョコレート、１４粒のうち、３〜４個が私の取り分になるでしょう。
おや？なんだか、おかしいです。
去年は、持ち主父がチョコレートを独り占めしたという話だったのに
今年は、３〜４個しか食べられない＝持ち主母が残りを食べてしまう。
と、言うことなのでしょうか？
持ち主父の書き方だと
まるで去年もチョコレートを、少ししか食べられなかったかのようです。
まさか、持ち主母が言っていた
持ち主父がチョコレートを独り占めという話は嘘だったのでしょうか？
それとも、持ち主母、持ち主父、どちらかが嘘を言っているのでしょうか？
あるいは、持ち主父が今年は心を入れ替えたのでしょうか？
まぁ、真実はどうあれ
持ち主としては、仲良く二人でチョコレートを食べてくれるとうれしいのですが。