最近、ぼくの持ち主の頭の中では
いろいろなテーマソングが
鳴り響いて困ります。
おとといは、なぜかセカンドラブで
昨日は、これまたなぜだか
ビューティーペアのテーマが
流れていました。
そして今日は
サザエさんの終わりの歌です。
しかしお昼にお友達が
乃木坂４６の「おいでシャンプー」を歌っていたせいで
午後のテーマはこれに決まりました。
けれども持ち主は、流行りの歌はあまり知らないため
♪おいでシャンプ～
の部分だけが、何回も何回も脳内でリピートしていました。
今日はちょと疲れましたが、明日のテーマソングが楽しみです。

最近、ぼくの持ち主はラッパーです。
事の始まりは、こんな感じでした。
その日、持ち主のグループは
みんな外回りに出かけており
持ち主と隣の席の
お兄さんだけでした。
いまは、とても忙しい時期らしく
お兄さんが疲れた表情で
言ったのです。
ああ。もうイヤだ。
そんなお兄さんに、持ち主は言いました。
その気持ちをラップで表現してみたらどうですかね？
そこで、ふたりで歌ってみました。
仕事がつらいよ。つらいよ。イェ～。
すると、なんだか楽しくなってきたのです。
それでその後、ふたりは数曲の即席ラップを歌いあげたのです。
それから、持ち主の脳内では
なんでもラップになってしまう、ラップ化が現象おきているのです。

英字新聞を読んでたら
知らない単語がたくさんあったよ。
英語が得意なお友達が
ぼくの持ち主に言いました。
持ち主が、ふんふん聞いていると
お友達は続けます。
alienation ってなんだろ。
疎外感かな？
すると、持ち主が言いました。
ありえねーっしょ。でしょ。
お友達は、きょとんとした顔をしました。
alienationの意味は、ありえねーっしょ。
持ち主がもう一度言うと、お友達はあきれた顔で持ち主を見ました。
ちなみに、alienation　の意味は、
ありえねーっしょ。ではなく、疎外感でした。

ぼくの持ち主が
電車に乗りこむと
入り口付近に
男性が立っていました。
なんの気なしにその方をみると
その方の前髪部分が
かなり素敵な白髪メッシュでした。
そうです。ちょうど
手塚治虫の漫画に出てくる
ブラックジャックみたいです。
ずいぶんとかっこよく白髪になったんだなぁ。
と、思いながらお顔を拝見すると、意外と若いです。
いえ、若いといいますか、幼い雰囲気です。
中学生か高校生でしょうか？
まさか、かなり人生に苦労しており、このお年で白髪なのでしょうか？
それとも、ブラックジャックに憧れて、白髪染めならぬ
おしゃれ白髪なのでしょうか？
気になります。大層気になります。

その日の休み時間

ぼくの持ち主の前に座る

若い男子が寝ていました。

格好は、机につっぷす形です。

そのため

チャイムが鳴って起きあがった

彼の額には

丸くあとができていました。

結構、大きいです。

持ち主が

ココ、あとができてるよ。

と、いうと、男子はおでこを押さえて、苦笑いしました。

それから数分後、男子を見ると、すでにおでこのあとは消えていました。

持ち主なんて、数時間は消えないのに。

これが若さってやつでしょうか。

妬ましいです。

朝、ぼくの持ち主が

ぶつぶつ言っています。

どうやら

スカートのはきかたについて

悩んでいるようです。

そのスカートは

持ち主がおばさまに

頂いたものなのですが

ボタンの留め方と

スカートのデザインとが

一体化したタイプなのです。

なにを悩んでいるかというと、たくさんあるボタン穴に

どうやってボタンをいれるのかをうっかり忘れてしまったのです。

持ち主は、あーでもない。こーでもないと試行錯誤していましたが

出かける時間が近づいてきてしまいました。

仕方なく持ち主は、スカートがとまる形で適当にボタンを留め

上からセーターをかぶせて出かけて行きました。

そしていまだ、ボタンの留め方が分かりません。

その日、会社に行くと

お友達が真剣な顔で

ぼくの持ち主に

ちょっとちょっとと言いました。

なにごとかと近寄ると

お友達は言いました。

スタバに行ったら

ＴＪ親子の

タンブラーがあったよ。

かわいかったよ。

そうなんです。

持ち主の友人たちはみな、シロクマグッズを発見すると

持ち主に知らせてくれるのです。

スタバより、どちらかというとドトール派の持ち主ですが

ぼくが売ってると聞いたら、見に行くしかありません。

持ち主は、さっそく近場のスタバに、タンブラーを見に行きました。

ずかずかと店に入り、シロクマ親子を見つけ

じっと見ている持ち主は、かなり怪しかったにちがいありません。

そのせいでしょうか？お店のお姉さんがやってきて

このシロクマ、かわいいですよね。タンブラーをお探しですか？

と、持ち主に聞いたのです。

怪しい持ち主は言いました。

いやぁ、シロクマ好きを知ってる友達が

シロクマ親子が売っているという情報をくれたんです。

あらぁ。シロクマ好きなんですか？

お姉さんは、怪しい持ち主の言葉に、ひくこともせず、

笑顔で言ったので、持ち主はぼくを見せながら言いました。

はい。

あらぁ。かわいい。

こうして持ち主は、シロクマタンブラーを購入することになったんですが

さすがはスターバックス、店員教育も大したものですね。

調金を習い始めて２年半。

ぼくの持ち主も

少しずついろいろなことが

できるようになってきました。

でも、困っていることがあります。

それは、作りたいものが

なくなってきたことです。

もともと、宝飾品そのものより

作る過程に興味がある持ち主。

なにを作るかについては

いつも悩みます。

そんなある日持ち主は、家の中で猫と目が合ったのです。

猫といっても、生きている猫ではありません。

猫好きの持ち主のために、屋久島土産にお友達が

買ってきてくれた猫のストラップです。

目つきの悪さがたまらない顔をしています。

これを使ってなにかできるかも。

持ち主は、早速先生に相談してみました。

こうして、あまり売っていそうにない

ちょっと目つきの悪い猫の指輪は完成したのです。

あれは初夏。

チャイブにアブラムシがついて

悩んでいたぼくの持ち主ですが

そんな悩みはいまや、ただの

懐かしい思い出となりました。

アブラムシに打ち勝った後

チャイブはあの酷暑を乗り越えて

大変立派な花を

たくさん咲かせたのです。

このままですと

花からは大量の種ができる気がします。

そして来年には、小さな２つのプランターが

チャイブだらけになるような気がします。

チャイブのがんばりすぎに

持ち主は、うれしいような悩ましいような複雑な気持ちです。

ぼくの持ち主は

鏡を見ていました。

すると、頭のてっぺんの辺りから

ちょびちょびと毛が

生えているのを発見したのです。

前髪の一部からも

ちょびちょび生えてます。

髪の毛をしばると

ちょびちょびは顕著です。

ちょび毛が噴火しているみたいに、そこここで立ち上がっているからです。

どうやら、以前発見されたハゲから、髪の毛が生えてきたようです。

無事に毛が生えたことは大変喜ばしいことですが

ぴょんぴょんと立ち上がるちょび毛は、かなりまぬけです。

せめて、立ち上がらないで欲しいです。