ゆかいな仲間」カテゴリーアーカイブ

友人のこと


ぼくの持ち主の親しい友人が亡くなって、結構な時間が過ぎました。
持ち主は普段元気にしてますが、時々めそめそしだします。

とくにお風呂場は危険です。水がたくさんあるからなのでしょうか?
涙を流して泣きます。

覚悟はしていた友人の死。それでも思い出す度に苦しくなります。

私は死んじゃうからいいけど、あんたたち残された人は苦しいよね。

と、小憎らしい顔をして言う友人を思い出します。

ああ!なんてやつだ!
こんなに私を苦しめて!悲しませて!どんな恨みがあるというんだ!
目は腫れるし、ただれるし最悪だよ!

持ち主がつぶやいていると

ばっかじゃないの。泣きすぎだよ。あんた。ほんと、よく泣くよね。

そんなことを言いながら、爆笑する友人の顔がなんだか頭に浮かんできました。

彼女はたぶんその辺で、笑いながら持ち主を見守ってくれているのだとぼくは思います。

やさしさ


ぼくの持ち主、最近咳がひどいんです。
風邪をひいたせいもあるんですが、時々発作のように咳が止まらずゼーゼーしています。

そんな持ち主に、お友達が飴をくれました。
な、なんとマヌカハニーののど飴です。

マヌカハニーといえば、のどにいいお高いはちみつです。
こののど飴はとっても高いでしょう。

いいの?こんな高級品?

持ち主が聞くとお友達は天を見ながら言いました。

いいんだよ。安売りしていたから。

すると、持ち主の隣の席のお兄さんが、持ち主のもらったマヌカハニーのど飴をつかんで言いました。

あれっ。賞味期限が来月じゃん!

まぁまぁ。だから安かったんだよ。

お友達は天を見ながら言いました。

賞味期限?そんなものはいいんです。
そのやさしさがありがたいんです。

バランスボール


会社に変わったお兄さんがいるんです。
その人はなんと、椅子の代わりにバランスボールに座って仕事しているんです。

ぼくの持ち主もバランスボール体験がしたくて、ちょっと座らせてもらいました。
結構座りにくいです。

しかしお兄さんがバランスボールに座って、真面目に仕事するさまは、なかなかシュールです。
ほんと、変わった人だと思います。

え?ぬいぐるみと生活する人も変わってるって?
確かにそれは、そうかもしれません。

切り身


ぼくが持ち主の机の上でぼんやりしていると、すばやい誰かに連れ去られました。
誰かと思ったら、ぼくを狙うマタギの娘です!

マタギの娘は、笑いをこらえながら、ぼくの口になにかを懸命に詰め込みます。
そして詰め終わると、ぼくを持ち主に返したのでした。

持ち主が保護したぼくを確認すると、なんと鮭の切り身をくわえさせられていたのでした。
マタギの娘の渾身の作らしいです。

マタギの娘!ありがとうございます。

マタギの娘


いつもおとなしいお友達が、ぼくを見るなりいきなり、手をピストルの形にして、バンって言ってぼくを撃ったんです。

ううう。と、撃たれたふりをした後に、

なにするんですか!

と叫びました。

静かなタイプの彼女がそんなことするなんて、ぼくはびっくりしたんです。
するとお友達は言いました。

ふふふ。私にはマタギの血が入っている。かもよ!

そうでした。彼女は秋田の人でした。
でもね、マタギの掟で撃ってはいけないクマっているんですよ。

真っ黒なクマ
真っ白なクマ
巨大なクマ

これらは神様の化身と言われているらしいです。
ふふふ。ぼくは神様の化身。かもよ!

本命


昨日は全国的にバレンタインデーでした。
ぼくの持ち主も会社の同僚たちと一緒に、ボスたちにチョコを渡しました。

去年異動してきた大ボスは、いつもは本社にいるので、あまりふれあいがありません。
会議でやってきた大ボスに、持ち主たちは恐る恐るチョコを持って近づきます。
そして、声をかけてチョコレートを渡しました。

すると、大柄な大ボスは立ち上がり、ああ、ありがとう。と恥ずかしそうにお礼をいい、それからニコニコいいました。

これ、本命?

そうですよ!もちろんみんなの本命です!

持ち主たちも笑って答えました。
意外とお茶目な大ボスに、持ち主は少しだけ親近感を感じたのでした。

頭痛薬


ぼくの持ち主は頭痛もちなので、頭痛薬が手放せません。
その日も、頭痛が起こったので、すぐに持っていた薬を飲みました。
ところが、まったく薬が効かないのです。

ガンガンする頭を抱えながら、持ち主はつぶやきました。

頭が痛い。

すると、持ち主の席の周りの数人から、頭痛いの?はい、くすり。と、頭痛薬がたくさん集まってきたのです。
錠剤、白い粉、緑の球。

みなさん優しいお気持ちありがとう。そしてみなさん、マイ頭痛薬持っているのですね。職業病でしょうかね。

ハワイ


仲良しのお姉さんが、お嬢さんの結婚式のためにハワイに旅立つことになりました。

ぼくはハワイに行ったことがないので、いいなぁ。と、ため息をつきます。
すると、お姉さんが言ったんです。

TJ、ハワイに連れていってあげようか?

えっ!いいんですか?

ぼくの脳裏に、青い空、白い雲、輝く太陽を背に、ジップロックに入ったぼくが海に浮かんでいる姿が浮かびます。

しかし、次の瞬間、お姉さんが言ったのです。

あ、やっぱりダメだわ。あちらのご両親に危ない人って思われちゃうもの。

えええ。そんなことないですよ。かわいいぼくと一緒なんですよ。
いや・・・そんなことありますね。

ハワイを諦めたぼくに、持ち主が優しく、いつかハワイに連れて行ってあげるよ。と、言ったのでした。

持ち主よ。ぼくはその約束を忘れません。

いつもニコニコ

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目があうと、いつもニコニコしてるお兄さんがいるんです。お兄さんと言ってもも、持ち主より大分若いですが。

いたずらっ子のこぐまのような雰囲気のお兄さんと、今日も目が合ったのでニコニコ挨拶しました。
すると、お兄さんは持ち主に言いました。

いつもニコニコしてますよねぇ。

え!違いますよ。ニコニコしてるのは、お兄さんの方ですよ!

持ち主は言いましたが、お兄さんは、えええ~違いますよ~。って、ニコニコしながら行ってしまいました。

お兄さんがニコニコしていたから持ち主がニコニコしたのか、持ち主がニコニコしていたからお兄さんがニコニコしていたのか、真相はわかりませんが、ふたりともニコニコしていることだけは事実です。

水筒

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持ち主が所属する派遣会社は、毎年記念の粗品をくれます。
今年の粗品は水筒でした。
でも持ち主は、水筒もタンブラーも持っています。
だれか欲しい人はいないかと、まわりに聞いてみましたが、持っているからいらないという人ばかりです。

ふと振り返ると、うしろの席のお兄さんの机の上には水筒がありません。
そこでお兄さんに、水筒を使わないかと聞いてみると、
「欲しい!」
と、お兄さんは言いました。おしゃべりなお兄さんは続けます。
「うれしいな〜。ちょうど水筒欲しくて、ドン・キホーテで見てたんだよね〜。ほら、800円くらいするじゃない?悩んでいたんだよね〜。これで800円、浮いたよ〜。ありがとありがと。」

そうなんです。お兄さんはふたりの子持ちで、お小遣いが少ないんです。
でもね、持ち主は知っています。お小遣いが少ないというのに、お兄さんがへんな駄菓子ばかり買ってしまうことを。

「浮いたお金で、またへんなお菓子買っちゃうんでしょ。」

持ち主が言うと、お兄さんはうふうふ答えました。

「うん。そんな気がする〜」