ぼくの持ち主が
会社へと向かう時間帯
ある行列を見かけます。
マスクをした方や
お年寄りの方々が
並んでいるのです。
そこは内科系の病院です。
人気があるのでしょうか?
この時期ですと
みなさんとても寒そうです。
そして、夏は暑そうです。
以前、倒れた方もいたようです。
体調が悪いから病院にかかるというのに
並んでずっと待つなんて、病状が悪化してしまいそうです。
なんとも心配な行列です。
月別アーカイブ: 2012年3月
ポーチに名前
甲子園
眠たい
前世の職業
ぼくの持ち主は
調金を習っていますが
それは、純然たる趣味です。
よって、ほとんどお遊び気分です。
そんな
不真面目な生徒である持ち主に
先生は課題を与えました。
石を留めるための細い爪を
これまた小さな土台に
蝋づけするようにと言うのです。
ピンセットで、土台と爪を一緒に持ちながら蝋づけです。
難しいよ。と、先生が言います。
見るからに、難しそうです。手がぷるぷるしそうです。
いえ。そんな小さなもの、つかむだけで大変そうです。
しかし、ピンセットを持った持ち主の手は、意外に安定していたのです。
手の動きもなめらかです。
先生にも誉められます。
持ち主は、なんだか不思議な気分になりました。
この作業に、慣れてるような気がするのです。
以前、似たようなことをやったことがある気がするんです。
でも、それがいつで、なんだったのかは、思い出せません。
既視感。デジャブというやつでしょうか?
前世は、親方だったんじゃない?先生が笑いながら言いました。
確かに。前世があるなら、持ち主はどこかでこんな職業についていたのかもしれません。
スマートな返し
ぼくの持ち主が歩いていると
前方に車椅子の女性が見えました。
その方を追い抜き
持ち主は、重い扉を開けて
目的地のデパートに入りました。
ふと振り返ると
先ほどの車椅子の方が
デパートの扉に
到着したところです。
持ち主は、戻って扉を開けました。
すると女性は
ありがとうございます。
と、グッとくるステキな笑顔で持ち主にお礼を言ってくれました。
持ち主はとっさに
いえいえ、とんでもない。
と、答えました。
その後、持ち主は思いました。
ありがとうございます。と、ステキな笑顔でさらっとお礼を言う女性。
スマートです。かっこいいです。
それに引き換え、持ち主の受け答えはどうでしょう?なんかイマイチです。
もっと余裕のある、スマートでかっこよい返しのできる大人になりたいものだと
持ち主は思いました。
特派員
新しい職場にも
ずいぶん慣れてきたぼくの持ち主。
さて、ぼくのファンならば
一体新しい会社で
ぼくがどんなふうに暮らしているか
大変気になるでしょう。
でも、じつはぼく
まだ会社の持ち主の机の上には
でていないんです。
なぜなら、何人かのお友達に、言われたことがあるからです。
いつも、くまを持ってるなんて危ない人だと思った。
そこで今回持ち主は
危険人物ではないことをまわりに認識してもらってから
ぼくをお披露目することにしたのです。
そしてようやくぼくは
お昼を一緒に食べているお姉さんたちに紹介されました。
そんな翌日、お姉さんの一人が、持ち主に新聞の切り抜きをくれました。
なんと、上野動物園にメスの北極グマがお嫁にやってくるというしろくま記事です。
わざわざ切り抜いてきてくれたのです。
なんて優しい人なのでしょう。うれしいです。
新しい職場、よいところです。
しろくま特派員まで見つかって、ぼくは大変幸せです。
こんな朝もある
それは、今朝のことでした。
出発予定の時間を
少々遅れた持ち主が
下駄箱から靴を取り出すと
なぜかほかの靴も
一緒に出てきました。
その靴を仕舞ながら靴を履き
荷物とカギをつかみ
張り切ってドアを閉めた持ち主は
気付きました。
今日は資源ゴミの日だ。
もう一度ドアを開け
玄関にあったゴミ袋をつかみとり
ドアを閉めようとすると
今度はドアの取ってにカバンが引っ掛かりました。
イライラしながら玄関の鍵を締め、一歩踏み出そうとすると
今度は手袋が落ちました。
焦る持ち主は、手袋を拾いながら
叫び声をあげそうになりましたが、ぐっとこらえました。
小走りで駅に到着すると、電車には間にあいました。
こんな日もあります。