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古墳の呪い


ぼくの持ち主はその日、お友達と芝公園の方へ探検に出かけました。
その日の目的はランチだったのですが、せっかく芝公園まで来たのだから東京タワーを見に行こう!と、いうことになったのです。

芝公園には到着したのですが、東京タワーは結構遠くに見えます。
どうやったら、あっちに行けるんだろうね。と、話しながら歩いて行くと目の前に階段が現れました。
結構な段数です。とりあえずそれを登ってみると小さな祠がありました。お稲荷さんです。
持ち主はなんだか嫌な予感がしたので、祠は避けて反対側に伸びる下りの道を行きました。

ようやく広場に出てきたのですが、東京タワーはまだまだ遠いです。
どうやったら東京タワーにたどり着けるのかと、あっちへ行ったりこっちへ行ったり持ち主たちは歩きます。

ようやく東京タワーへの道を見つけると、今度は雨がパラパラ降ってきました。
小雨だった雨は、徐々に強くなって行きます。
持ち主たちは雨を避け、ちょうどやってきたバスに飛び乗りました。
東京タワーまで、すぐそこだったのに。

さっきの祠、じつは丸山古墳という古墳だったのです。
これはまさか古墳の呪いでしょうか。

新たなる戦い


ええ。出たんですよ。とうとう。
なにがって?
あれですよ。あれ。カサカサ動く黒いあいつです。

まぁ、引っ越した時に覚悟していたんです。
古い部屋だし隙間は多い。飲食店がないのが救いなだけです。

数週間前、小さいあいつらしき虫が出たので、これはまずいと、毒餌とホイホイを仕掛けていたんです。
引っ越してすぐの時は、冬に向かっていたんで、まったくひっからなかったんです。あいつ。
ところが今朝、な、なんとホイホイにあいつが・・・

ひや〜っと、持ち主は叫びましたね。

仕方ないです。戦うしかないです。
持ち主、負けません。

ごちになる


その日は、会社近くのお寿司屋さんで、手巻きが百円の日でした。
持ち主たちは美味しいお寿司に、もくもくとかぶりついていました。

すると、隣にご高齢のご夫婦二人組が座ったのです。
いくつかつまみを頼み、奥さまは手巻きの写真を眺めました。

みんなこれ食べてるね。あらウニは四百円だって。

あ!この人たち、今日が手巻きの日だって知らないんだ!

そういえば、お店の前には別にそのイベントを知らせるものはありません。

その時、持ち主の隣に座っていたおじさまと目が合いました。
持ち主は、お節介にもついつい言ってしまいました。

今日は、手巻きが全部百円の日ですよ。

えええ!そうなの!教えてくれてありがとう!

それからおじさんは言いました。

なんか、ご馳走するよ!

それで、お友達と持ち主は本日のお椀をありがたくご馳走していただきました。

ジャムが食べたい


その日ぼくの持ち主は、電動工具を借りたくて実家に連絡したのです。
持ち主母が工具を送るついでに、なにか必要なものがあるかとたずねるので持ち主は言いました。

イチゴジャムが食べたい。

持ち主母は、自他共に認めるジャム作りの名人です。持ち主はイチゴとあんずとマーマレードが特に好きです。

あらっ。今年イチゴジャム作ってないわ〜。イチゴ買わなきゃ〜。

持ち主母は、なんとジャムを作って送ってくれたのです。なんて優しいんでしょう。

ところが。
朝、トーストの半分にハムをのせ、半分にジャムを塗ろうと、持ち主はいそいそ朝ごはんを用意していました。しかしトーストを焼きながら、ジャムの瓶を開けようとするのですが、固くてまったく開きません。

まぁ、蓋を温めておけばそのうち開くだろうと瓶の蓋を熱湯につけました。
焼けたパンにバターを塗って、紅茶を入れて、さぁ、今度こそジャムを!と思ったのですが、温めた瓶の蓋もびくともしません。

ああ。パンが冷めてしまう。と、とりあえず持ち主はハムをのせて半分トーストをかじります。

そしてもう一度チャレンジ。
まったく開きません。

そこで、瓶の開け方を調べていろいろ試しますが開きません。びくともしません。
ガムテープを使ったり、輪ゴムを使ったりしてもまったく開きません。

手のひらは真っ赤です。パンは冷え切っています。
もう、このジャムは食べられないんじゃないか?そう絶望したその時、瓶の蓋にかすかななにかが。

いける!持ち主は一気に力を入れます。

パカっという音と共にイチゴジャムの甘い香りが漂います。
あいた〜!!

持ち主は大喜びで冷めたパンにジャムを塗って食べました。
大変美味しかったです。

しかし持ち主母、一体どんな力で蓋を閉めたんでしょうか。

常連になる


会社近くのお寿司屋さんで手巻き寿司百円の日に、持ち主とお友達はお店に並びます。
なんたって美味しいし、通常値段ではなかなか食べられないからです。

しかしその日、事件は起きたのです。
カウンターに通された持ち主たちに強面の板さんが言ったのです。

毎月来てるでしょ。先月はあの辺に座ってたでしょ。もう、注文するものも決まってるよね。

まずい、バレてる!

持ち主は比較的地味な顔立ちなので、得意技は人に顔を覚えられないことです。
お友達は、ちょっと個性的な服を着ますが、これまた派手な顔立ちではないので、ふたりが面バレすることはないと信じていたのです。

しかし、バレてる!

酒も飲まず、たんたんと寿司を数本食べるだけの持ち主たち。寿司屋としたら、あまりありがたい客ではないでしょう。
でも、持ち主たちのいいところは、さっと食べてさっと出る。滞在時間30分なところです。
そして話している内容は、やっぱりネギトロ最高!とか、至高のトロタク!とか、ああ!美味しい!とか、そんな寿司賛辞ばかりで無駄口はたたきません。

帰りがけ板さんに、ちょっとしか食べなくてすみません。と、持ち主が挨拶すると、板さんはにやりと笑い、

また来月もおいで!

と、言ってくれたんです。

ええ。ええ。行きますとも!

持ち主がアホだった話


ぼくの持ち主は今、ホッと胸をなでおろしています。
胸に手をあて、天を仰ぎ、ありがとう。と、つぶやいています。
一体なにがあったんでしょう。

その日、持ち主はとても疲れていました。
仕事の内容が頭を使って、注意を要する作業だったからです。時間的な制約もあり、結構な神経を使っていたんだと思います。

定時を過ぎつつもなんとか仕事を終えた持ち主は、新しいiPhoneを受け取りに出かけたのです。
本当は違う日にしようと思ったのですが、連日予定が埋まっていたのでちょっと無理したのです。

手続きを終え新しいiPhoneを手にした持ち主は、それでもウキウキしていました。
家に帰る前に、ふと持ち主は思いました。

結構時間も遅いし、データ移行もやらなきゃだから、なにか簡単に食べられるものを買って行こう。

そして食料を買い、バスで家まで戻ったのです。
家に着くと早速ご飯を食べ、データ移行の注意点を熟読し、古いiPhoneのデータを削除したり、整備したりしてバックアップを取り終えました。

ここまでで、帰宅から2時間近く経っています。
そして持ち主は、新しいiPhoneを出して、データを移行しようとしたのです。

ところが新しいiPhoneがないのです。
床の上にも、戸棚の上にも、玄関にも、お風呂場にも、トイレにも、洗濯機にも、どこにもないのです。

どうやら持ち主は、どこかへiPhoneを置いてきたようなんです。
パニクる持ち主。

まず、バスに忘れ物を確認しましたが、ありませんでした。

置いてきてからすでに2時間も経っています。
iPhoneにはロックもかかっておらず、悪い人の手に渡ったらひとたまりもありません。

焦る持ち主は、つぎに買い物をしたスーパーに電話しました。
電話がなかなかつながりません。

何回もチャレンジし、ようやくスーパーに電話がつながりました。ありがたいことに、親切なお姉さんがiPhoneを探して電話してくれるといいます。
待つこと数分。生きた心地がしません。

そうして電話がかかってきました。
持ち主の口からは心臓がでそうです。
お姉さんが語ります。

お探しになられている携帯電話は、箱に入ったものでよろしいでしょうか?

そうです!それです!

そうなんです。持ち主はiPhoneを箱にいれたまま、それが入った紙袋をスーパーのサック台に置いていったのです。

疲れてたんです。はい。
でも、あってよかったです。本当によかったです。

お姉さんありがとう。お店の人ありがとう。親切にしてくれた方、ありがとう。

迷子


地図を見ながら思っていたんです。
五反田から自分の家まで歩けるんではないか?と。
距離は2キロもありません。

それを実行する日がやってきました。

用事で五反田に来たので、歩いて帰ってみることにしたのです。ちょっとわくわくします。
道を確認すると、まっすぐ行けば持ち主の知っている道に出るはずです。

それなのに、やってしまったんです。
もしかしたら、こっちに曲がった方が近いかも。と、
地図を見ながらふと思ったんです。

ちょっと右に曲がったらもう、自分の居場所がわからなくなりました。
街灯はあるし、人もたくさん歩いているし、Googleマップも動いてますが、どこにいるのかがわかりません。迷子です。

焦りながらGoogleマップに、近くにあるはずの知っているスーパーの名前を入れて、そこを目指します。
しかし、近くに来ているはずなのにスーパーを見つけられません。

ようやくスーパーにたどり着きいてほっとする持ち主。
ちょっと買い物をして帰途につきました。

でもこのスーパー、かつて一度来ただけで、その時は地図を片手だったのです。安心して地図を閉じていた持ち主は、またしても迷子です。

ここ、どこ?

近いはずなんです。家に。たぶん200メートルも離れてないんです。

地図アプリを立ち上げて、ようやく家にたどり着きましたが本当に怖かったです。
道がうねっている土地は、ついつい方向感覚をなくすから恐ろしいです。

取り違え


お昼の時のことです。
持ち主の隣で、お友達がカップ焼きそばとカップフォーを作り始めました。

焼きそばソースをからめた後、フォーにスープをいれようとするお友達に持ち主は軽い気持ちで言いました。

ソースがふたつあると間違えちゃいそうだね。

すると、お友達は一瞬止まりました。
そして手にしたソースをじっと見つめ、それからうなだれました。

なんとお友達は、フォーのスープを焼きそばにいれてしまったのでした。

ソースを取り違えた焼きそばとフォーは、食べられないことはない味だったとのことです。

やきいもとケーキ


持ち主は久々にロールケーキを食べました。なぜかというと、やきいもが食べられなかったからです。

会社の近くで、やきいもイベントがあるらしいとお友達から聞いたぼくの持ち主。
しかし就業時間中にイベントが終わってしまうので諦めていました。
でも一軒だけ、20時までやきいもを売っているお店があったので、行ってみようということになったのです。

残業を頼みたそうな上司を華麗にスルーし、終業後に会場へ急ぐ持ち主たち。
やきいもでケホケホしてはいけないと、お茶まで購入して現場へと向かいました。

同じ駅とはいえ、結構な距離があり、到着には20分ほどかかったでしょうか。
迷いながらようやく到着すると、そこにはお兄さんが立っていました。
そして、持ち主たちに言ったんです。

すみません。もう売れ切れてしまいました。今日はちょっと予想外で。

お友達と持ち主は、がっくりと肩を落としたのでした。
それでお腹をすかした持ち主たちは、やきいもの代わりにカフェに寄ったんです。
ロールケーキを食べたのは、そんな訳です。

開かずの踏切


持ち主の家の近くには開かずの踏切があるんです。
いつもはそこを避けて家に帰る持ち主ですが、買い物をしたり図書館による時はその踏切を通った方が近道です。

ただ開かずの踏切は20分くらい開かない時があり、最近、いまいち運が良くない持ち主は、踏切が20分くらい開かなくても当然なんじゃないかと思ったのです。
しかしここは運だめし。持ち主は開かずの踏切の前に立ちます。すると、ほんの数分で踏切があがったのです。

ラッキー

持ち主はいそいそと踏切を渡り、八百屋で野菜を買い、本日のメインイベント、図書館へと急いだのでした。

ところがようやく図書館に着くと、なんだか様子がおかしいです。図書館が薄暗いのです。
なんとこの日は、月に一度の休館日だったのでした。

ラッキーだったのか、アンラッキーだったのか、持ち主はとぼとぼ家路へと着いたのでした。