その日
買い物を終えたぼくの持ち主は
ケーキ屋さんの前を通りました。
ショーケースのケーキを
ちらりと見ると
なんだかとても美味しそうです。
ケーキ、食べたいな。
持ち主は思いました。
でも、持ち主は気ままな一人暮らし。
ケーキをひとつ買うのは
心苦しいけれど
2つは買いたくありません。
一度、店を出た持ち主は、歩きながら思いました。
紅茶を入れて、ゆっくり食べたら幸せだろうな。
そう思ったら、いてもたってもいられなくなり、持ち主はお店まで舞い戻りました。
持ち主は、お店のお姉さんに聞いてみました。
ケーキ、ひとつでもいいですか?
大丈夫ですよ。
お姉さんは笑顔で答えました。
こうして持ち主は、ケーキをひとつだけ買って帰ったのです。
それは、ちょっぴり幸せな夜でした。