その日、いつもの電車を
いつもの駅で降りたぼくの持ち主は
いつもの足取りで
ホームを歩いていました。
すると、いつもの声で
いつもとは違うアナウンスが
かかりました。
ご乗車ありがとう。
あれ?
持ち主はちょっとびっくりしました。
いつもは
ご乗車ありがとうございます。
なのに、今日はご乗車ありがとう。
たぶん、その後にイレギュラーな放送が入ったために
「ございます。」が切れたんだと思いますが
なんだか持ち主は、楽しくなってきました。
ご乗車ありがとう。
いいえ。どういたしまして。
持ち主は、つぶやきながら、ひとりでにやにやしたのでした。