ぼくの持ち主の隣の席のお兄さんがいなかったんです。
それで持ち主は聞いたんです。
お兄さんはおやすみですか?と。
すると、帰ってきた答えが、表題の通りだったのです。
クソ行ってから来るそうです。
クソ行って?
持ち主が聞き返すと、答えたお姉さんが目を大きくして言いました。
役所です。役所。
ああ。最近聞き間違いが多いのは、きっと元気の証拠です。
会社の帰り道、ぼくの持ち主がエレベーターに乗ろうとした時のことです。
めずらしくエレベーターがすぐにやってきて、そして誰も乗っていませんでした。
ラッキーとばかりに乗り込んだ持ち主は、すぐにその異変に気付きました。
エレベーターの中が臭いんです。
どのように臭いかというと、いわゆるおならのにおいです。
たぶん、持ち主がエレベーターに乗る寸前に乗っていた人が、
降り際におならをして行ったのでしょう。
しかし他の階に止まることなく、エレベーターは1階へと降りていきます。
胸をなでおろす持ち主に、不幸が襲いかかります。
チーンとドアが開いた瞬間、そこには、ひとりのおじさんが立っていたのです。
降りながら、ぼくは思いました。
このおじさん、持ち主がおならをしたんだと思うだろうな。
おじさん、たしかに持ち主はおならをしますが、今回は冤罪ですよ。
マンションのガス管になにか問題が出て
ガスが使えない日々が続いたぼくの持ち主。
ガスが使えないって、本当に不便です。
まず、お風呂にはいれません。
ガスでの調理はできません。
その上、持ち主はガスストーブを使用しているので、
遠いところにあるエアコンしか使用できません。寒いです。
特につらいのがお風呂です。
近所に銭湯はなく、水浴びした持ち主は、寒さで死ぬかと思いました。
二日目は、電子レンジで30分かけて洗面器一杯のお湯をつくり、
それでお風呂を完了しました。
でも、その時のお湯のありがたさといったら!
ああ。いつもあることが当たり前になっているお湯の存在。
当たり前なことが、実はそうではないということを身をもって感じた持ち主。
またひとつ、大人になったにちがいありません。