その日、ぼくの持ち主は家に着くと
いつものようにかばんに手をいれて
鍵をさがしました。
ところが、
いつものところに鍵がありません。
ほかのところをさがしても
ありません。
ポケットの中にもありません。
持ち主の顔から、血の気が引いていきます。
持ち主は、かばんの中身を全部だしてひとつひとつ確認し始めました。
けれども、鍵は見つかりません。
持ち主の心臓の鼓動は激しくなってきました。スペアの鍵は誰にも預けていません。
入れないなら、鍵屋さんを呼ぶしかありません。
持ち主は、もう一度ポケットに手をいれました。
すると、左ポケットの奥でなにかをさわりました。
取り出してみると、鍵ではないですか。持ち主は胸をなでおろしました。
でも、はじめにポケットをさがした時、たしかに鍵はなかったのです。
なんだかすっきりしないまま、持ち主は家の中に入ったのでした。
ま…さか…神楽坂…
ええええ。
神楽坂交差点・・・事故多発地域・・・
まじおばけですか・・・