ぼくの持ち主は洋服好きです。
特に好きなのはパフスリーブや
フリルにレースといった
大袈裟な装飾です。
そういった装いだと
なんだかラブリィなイメージを
持つかもしれませんが
持ち主の場合は違います。
目指しているのは、ベルばら、あるいは王子です。
けれども、そうした洋服はとても着にくく、持ち主はいつもいらいらしてしまいます。
その日も、袖口のボタンをとめられず、お友達にやってもらっていました。
どうして、王子服は気にくいんだろう。だいたい、なんでこんなにボタンがあるんだぁ。
持ち主がいうと、お友達は言いました。
王子様はボタンをとめてくれる人がたくさんいますからね。
なるほど。王子服はやはり、召し使いがたくさんいないと着こなせないのですね。