昨日、少し遠いところに
出張に出かけたぼくの持ち主は
暖かい日差しの中
うとうとしながら
電車に揺られていました。
すると隣に
ピンストライプのスーツを着た
ビジネスマン風の方が座ったのです。
隣にきた瞬間
ふわっとよい香りがしました。
でも、この瞬間が
地獄の始まりになるとは
その時の持ち主は
まだ、わかっていなかったのです。
腹式呼吸を心がける持ち主は
鼻で呼吸をします。
その、息を吸い込む時に気がつきました。
ピンストライプ氏の甘い香りを吸い込んでしまうのです。
甘い香りをかぎ続けて、持ち主はだんだんと苦しくなってきました。
はじめはよい香りだと思ってたこの香りが、どんどんと苦痛になってきます。
もう少し、もう少しで目的地だ。と、持ち主が自分にエールを送っていた時です。
ピンストライプ氏の右手側に座っていたお兄さんが
いきなり立ち上がったのです。
それは、駅に到着するにはまだまだ時間がある瞬間でした。
どうやらこの方も、ピンストライプ氏の香りに耐えきれなかった模様です。
その後持ち主は、自分自身に言い聞かせました。
香水の量には気をつけよう。