計画停電中、街は真っ暗です。
それは、マンションの
中に入っても同様です。
その日、ぼくの持ち主は
玄関の前で、バッグの中を
手探りで鍵を探していました。
右手にバッグ、左手には
郵便受けから持ってきた
チラシや郵便物を持っています。
チラシや郵便物が邪魔で
鍵が探しにくいです。
しかも、あるはずの場所を探っても鍵がみつかりません。
真っ暗で、チラシを置くところもなく、バッグの中は見えず
持ち主は焦りはじめました。
どうして鍵がないんだろう?
何度も内ポケットを探ります。ないです。これでは家の中に入れません。
こうなったら仕方ありません。
持ち主は、真っ暗の床にチラシを置き、バッグの中を出すことに決めました。
ふとその時、持ち主は左手がおかしいことに気がつきました。
すごく変な形でチラシを持っているのです。
なんでこんなに変な風にチラシを持っているんだ?
と、思って左手を見ると、なんと手の中に鍵があるではないですか。
そういえば、電車に乗っているとき、暗いと鍵を探すのが大変だからと
ポケットに入れたのでした。
きっと、いつの間にか無意識に左手に持っていたのでしょう。
持ち主、相当疲れてるんでしょうか?
疲れてるんでしょうね。