ぼくの持ち主は
よく転びます。
なにもないところでも
つまずきます。
運動神経が
すごく悪いわけではないのですが
あまりよくないと思います。
その日はお出かけだったので
ハイヒールを履いていた持ち主は
少し急いでいました。
事件は
階段を降りるときに起こりました。
ヒール部分がパンツのすそに
ひっかかるのを、持ち主は確かに見ました。
転ぶな。
その瞬間、持ち主はわかりました。
しかし、この時点ではもう、なにもできません。
スローモーションのように、バランスが崩れていきます。
どうやって倒れたのかわからないまま、持ち主は階段から転がり落ちました。
心配してくれた人が、大丈夫ですか?と、かけよってきます。
人々が、目を丸くして持ち主を見ています。
たぶん、かなり派手に転がったのでしょう。
ありがとうございます。
持ち主は笑いながら言いました。
よくあることです。慣れています。だから、あまり恥ずかしいとは思いません。
でも、打ち身は痛いです。
持ち主さん、おだいじに。
気をつけてね。
しゅわさん
ありがとうございます。
ほんと、持ち主ったらそそっかしくて。
ぼくも心配なんです。