厄を抱えて

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その日、ぼくの持ち主は
こんな夢を見たのです。
バスに乗って坂道を上がり
途中で降りた持ち主。
すると、道の向い側を
持ち主のお友達のお姉さんが
走っているのが見えました。
彼女は、平然とした顔で
胸に大きな消しゴムを抱えて
坂道を走っています。
白いブラウスに紺のフレアスカート。
そしてベージュのパンプスで、お姉さんは身軽そうに走っているのです。
ただ、その胸に抱えた消しゴムには
厄という漢字が太く黒い字で、大きく書いてあったのでした。
その日、会社へ向かった持ち主は、お姉さんに夢の話をしてみました。
すると、お姉さんは、あらまあという顔をしながら言いました。
今日、すごく運が悪いのよ。まさに厄だらけって感じ。それ、正夢ね。
持ち主の夢、正夢だったようです。

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