
仲良しのお姉さんが、白い顔をして、ぼくの持ち主に言いました。
つかびれた。
それを聞いた持ち主が、
つかびれたってなに?
と、爆笑していると、お姉さんはそのまま
ふらふら〜と歩いて、壁のスイッチに頭を思いっきりぶつけました。
大丈夫ですか?
爆笑につぐ爆笑で、持ち主はお腹が痛くなりましたが、お姉さんも笑いだしました。
でも、ぼくは知っています。
お姉さんの後ろにいた、クールな雰囲気の営業さんが、こらえきれずに吹き出したのを。

昨日ぼくの持ち主は、お友達と一緒に新国立美術館で始まった
チューリッヒ美術館展に行って参りました。
始まって最初の土曜日だったので、とても混んでいるだろうと予想し
持ち主たちは、開始の10時より前に行くことにしました。
家を9時前に出て、10時前に到着した持ち主たちは
無事、美術館に入る事に成功しました。
展示は、印象派から現代までのため、印象派の辺りは混み混みでしたが
現代に近くなると人はまばらになり
カンディンスキーもモンドリアンもクレーもジャコメッティも
ほぼ独占状態で鑑賞できました。
やはり、早起きは三文の得。
これからも、お出かけの時は、早起きをがんばろうと持ち主は言っています。
でもぼくは、知っています。
昨日遊びすぎて、今日はお昼近くまで、持ち主が寝ていたことを。

よく九州に出張に行く営業のお兄さんが、堅パンというのを買って来てくれました。
テレビなんかで有名らしいのですが、とにかく堅いらしいです。
さっそく、試してみました。
袋を開けて、堅パンを出します。
見た目は、ビスケットのような感じです。
匂いをかいで、さっそくかじってみます。
噛めません。
噛み付いていると、よだれが垂れてくるほどの堅さです。
なんとかバキッと歯で割りましたが、歯が欠けそうでした。
割れた部分が、口に入ったまま、なかなか噛みくだけません。
これは、相当の堅さです。
電話がかかってきても、話せないレベルです。
堅パンをたべるときは、みんなで食べずに、順番に食べないと、電話がかかってきたとき大変です。

それは、土曜日のことだったのですが
ぼくの持ち主は、知り合いが参加する写真展を見に千駄木の方まで行きました。
持ち主は根津という駅で始めて降りました。
この街になんとなく親しみが湧くのは、持ち主が生まれた湯島に近いからなのかもしれません。
駅を出ると、街がワサワサしているのを感じます。
なんとその日は、偶然にも根津神社のお祭りだったのです。
これは、なんだかご縁を感じるぞ。と、思った持ち主は、写真展を見た後にお祭りをのぞきに行きました。
たくさんの出店があって、ワクワクします。奥では舞を奉納しています。
ああ!お祭りです!意味なく興奮します。
けれどもチョコバナナを食べたくなった持ち主は、ひとりだとなんとなくその気にならずあきらめました。
そしてつくづく、お祭りはひとりで行くものではないことを実感したのです。