ぼくの持ち主、寝不足なんです。
ええ。夏休み明け、初めっから寝不足なんです。
やはり、作品は作っていたものの、毎日寝たい時に寝てたので
夜に眠れなくなったんです。
この夏休み中、そんなことは一度たりもなく、
昼寝をしても、横になると夜はすぐに寝られたというのに。
翌日は仕事だ。と、思ったせいなのでしょうか。
ほとんど眠れず、あっという間に朝になったんです。
ああ。今日は仕事中にあくびをかみ殺すことになるんでしょう。
ぼくの持ち主はクモが嫌いです。
小さめなクモならどうにかなりますが、
大きかったり、長かったりするとダメです。
高校生の頃、早起きした持ち主がベランダに出て気持ちよく伸びをしたら、
目の前に、手足をひろげると10センチくらいになる巨大クモが。
それからトラウマです。
そんな持ち主の家にクモが出現しました。
あと、2ミリ大きかったら無理ですが、
なんとか許せるくらいの大きさです。
でもこのクモ、見覚えがあるんです。
それは先日、知り合いの個展を見に六本木へ行ったときのことです。
作品を見ながら話していたら、一匹のクモが持ち主の体に登ってきて、
そのまま持ち主のカゴに入ったのです。
六本木から小平に行くか?
一緒に住むか?
冗談で言っていたのですが、クモくん、本当にやってきたのでしょうか。
このくらいの大きさなら大丈夫です。
でも、もっと成長したら、出て行ってください。
無理です。
大量の洋服を整理しつつ、
似たような服はひとつに搾り始めたぼくの持ち主。
たくさんの洋服を整理した後に持ち主は気づきました。
残っている服が、ボロばっかなのです。
持ち主は、その謎を分析してみました。
お気に入りの服は、ローテーションが激しくなります。
ローテーションが激しくなると、服がボロくなります。
ボロくなったので、似たような服を買います。
でも、やっぱりお気に入りを着てしまいます。
この繰り返しで、お気に入りに似た服を買い続けるけれど、
お気に入りを一番着るので、お気に入りはどんどんへたっていきます。
そして、似た服は意外ときれい。
でも、一枚選ぶなら、お気に入りを選んでしまう。
これが、ボロばかりが残った理由です。
持ち主は得意気に語っていますが、ぼくはなんてアホなんだと思います。
昨日まで、仕事だったぼくの持ち主。
会社に行っても、周りの人はほとんど休みでした。
自分たちだけ仕事なんて、なんだかつまらないので、
おなじく出社しているお友達と冒険を計画しました。
持ち主の会社のまわりは観光スポットがあるため、この時期はとても人が多いです。
ランチもとても混んでいます。
しかし、この混んでいる時に、あえていつもと違うお店に足を伸ばそうというのです。
一軒目、メキシカンのお店。
電話で状況を聞いたところ、
お盆のため混んでいる上に回転が悪いとの回答をいただきました。
二軒目、有名な洋食屋さん。
人が外にあふれていました。
三軒目、行ってみたかったけれど、ちょっと会社から遠いインドカレー屋。
暑い中、早歩きで歩きました。
観光客を何人も追い抜かしました。
ようやくたどり着いたところ、なんと入れました。
それで持ち主とお友達は、カレーとナンとラッシーを堪能しました。
夏の冒険は、大成功だったのです。