ぼくの日記」カテゴリーアーカイブ

マタギの娘


いつもおとなしいお友達が、ぼくを見るなりいきなり、手をピストルの形にして、バンって言ってぼくを撃ったんです。

ううう。と、撃たれたふりをした後に、

なにするんですか!

と叫びました。

静かなタイプの彼女がそんなことするなんて、ぼくはびっくりしたんです。
するとお友達は言いました。

ふふふ。私にはマタギの血が入っている。かもよ!

そうでした。彼女は秋田の人でした。
でもね、マタギの掟で撃ってはいけないクマっているんですよ。

真っ黒なクマ
真っ白なクマ
巨大なクマ

これらは神様の化身と言われているらしいです。
ふふふ。ぼくは神様の化身。かもよ!

ジャムが食べたい


その日ぼくの持ち主は、電動工具を借りたくて実家に連絡したのです。
持ち主母が工具を送るついでに、なにか必要なものがあるかとたずねるので持ち主は言いました。

イチゴジャムが食べたい。

持ち主母は、自他共に認めるジャム作りの名人です。持ち主はイチゴとあんずとマーマレードが特に好きです。

あらっ。今年イチゴジャム作ってないわ〜。イチゴ買わなきゃ〜。

持ち主母は、なんとジャムを作って送ってくれたのです。なんて優しいんでしょう。

ところが。
朝、トーストの半分にハムをのせ、半分にジャムを塗ろうと、持ち主はいそいそ朝ごはんを用意していました。しかしトーストを焼きながら、ジャムの瓶を開けようとするのですが、固くてまったく開きません。

まぁ、蓋を温めておけばそのうち開くだろうと瓶の蓋を熱湯につけました。
焼けたパンにバターを塗って、紅茶を入れて、さぁ、今度こそジャムを!と思ったのですが、温めた瓶の蓋もびくともしません。

ああ。パンが冷めてしまう。と、とりあえず持ち主はハムをのせて半分トーストをかじります。

そしてもう一度チャレンジ。
まったく開きません。

そこで、瓶の開け方を調べていろいろ試しますが開きません。びくともしません。
ガムテープを使ったり、輪ゴムを使ったりしてもまったく開きません。

手のひらは真っ赤です。パンは冷え切っています。
もう、このジャムは食べられないんじゃないか?そう絶望したその時、瓶の蓋にかすかななにかが。

いける!持ち主は一気に力を入れます。

パカっという音と共にイチゴジャムの甘い香りが漂います。
あいた〜!!

持ち主は大喜びで冷めたパンにジャムを塗って食べました。
大変美味しかったです。

しかし持ち主母、一体どんな力で蓋を閉めたんでしょうか。

顔が曲がる


それは持ち主が、ぼくをアップで撮ろうとした時のことです。

TJ、顔が曲がってる。

ええ。ええ。長年カバンにつめられ生きていると顔も曲がるんですよ。
持ち主だってこのあいだ、自分の写真を見て、シワがぁ!ホウレイ線がぁ!って、騒いでいたじゃないですか。
お互い、アップに耐えられない年になったんですよ。年をとるってそういうことです。
これはもう、修正技術を磨くしかないかもしれません。

た、確かに曲がってますね。ぼくの顔

持ち主の楽しみ


ぼくの持ち主の最近の楽しみは、一人で映画を見に行くことです。
はじめは抵抗があったのですが、一人映画に慣れると気楽でいいです。
くだらない映画を見たい時なんか、ひとりでにやにやしながら見ます。

映画を見る時なぜか持ち主は、近くのフードコートでたこ焼きを食べます。
このたこ焼き、焼き上がるのに20分くらいかかるため、持ち主はいつも焦ってます。映画が始まるまであと何分!と焦りながら、おまけに持ち主は猫舌なのでもうほんとに大変です。

なんでわざわざ時間のかかるたこ焼きをたのみ、そして火傷しながら食べるのか、ぼくにはまったく不明ですが、持ち主はにやっと笑って、楽しい。というのです。

楽になりたい


個展の準備と、丹沢アートフェステヴァルへの参加準備で毎日大忙しのぼくの持ち主。
元来ナマケモノだというのに、毎日毎日やることが山積みです。

ある日、会社でふーっとため息をつきながら持ち主は言いました。

あー楽になりたい。

それを聞いたお友達、表情を変えずに言いました。

それってさ。結構やばいセリフだよね。

上を向き、熟考する持ち主。

確かに。

でもやっぱり気分は、楽になりたい。らしいです。

たましんへ行く


お昼を買いにエレベーターへと向かうと、お友達二人が駆け込んできました。

どこか行くの?

持ち主が聞くとお友達がいいました。

たましんへ行く

たましん?

持ち主がびっくりして聞き直すと、お友達はきょとんとした顔をして言いました。

手巻き(を食べ)に行くって言ったんだよ。たましんってなに?

たましんとは、多摩在住の人には身近な信用金庫です。

多摩信用金庫だよ。

持ち主が大興奮で言うと、お友達ふたりはあまり関心のない表情で、へ〜と言いました。
ところが、隣にいたおとなしげなおじさまが、ぶっと吹き出したんです。

ぼくは見ましたよ。あなた、多摩関係者でしょ。

常連になる


会社近くのお寿司屋さんで手巻き寿司百円の日に、持ち主とお友達はお店に並びます。
なんたって美味しいし、通常値段ではなかなか食べられないからです。

しかしその日、事件は起きたのです。
カウンターに通された持ち主たちに強面の板さんが言ったのです。

毎月来てるでしょ。先月はあの辺に座ってたでしょ。もう、注文するものも決まってるよね。

まずい、バレてる!

持ち主は比較的地味な顔立ちなので、得意技は人に顔を覚えられないことです。
お友達は、ちょっと個性的な服を着ますが、これまた派手な顔立ちではないので、ふたりが面バレすることはないと信じていたのです。

しかし、バレてる!

酒も飲まず、たんたんと寿司を数本食べるだけの持ち主たち。寿司屋としたら、あまりありがたい客ではないでしょう。
でも、持ち主たちのいいところは、さっと食べてさっと出る。滞在時間30分なところです。
そして話している内容は、やっぱりネギトロ最高!とか、至高のトロタク!とか、ああ!美味しい!とか、そんな寿司賛辞ばかりで無駄口はたたきません。

帰りがけ板さんに、ちょっとしか食べなくてすみません。と、持ち主が挨拶すると、板さんはにやりと笑い、

また来月もおいで!

と、言ってくれたんです。

ええ。ええ。行きますとも!

走る持ち主


ここ最近、持ち主ったらちょっとやさグレてたんです。
個展も近いし、その前に他の展示にも参加させてもらうことになっているので、作品を同時進行で製作してるんです。
仕事も直ボスが異動して変わり、今まで直ボス管轄だった仕事に関わらなければいけないことも増え、かなり切羽詰まってたんです。

今も状況はかわりませんが、そろそろ腹をくくらねばならないと持ち主は思ったんです。
でも忙しすぎてもう、肩こり、首こり、腕こりがはんぱなかったんです。寝ても起きても体が重くてだるいんです。

そこで持ち主は、久しぶりに走ることにしました。
かなり久しぶりなので、たぶん200メートルくらいしか走れないんじゃないかと、タラタラ持ち主は走り始めました。
いつもの通勤路なんですが、走ってみると、意外と起伏がある道なんです。
こりゃ、きついかもな。と思いつつ、足もそんなに痛くならないし、息もそんなにあがりません。

気づいたら、2キロくらい走ってました。びっくりしました。
毎日、ゆるい起伏を歩いてるうちに体力がついたのでしょうか?
一週間くらい走ったら、コリも楽になりそうです。

ぼくはプリンス


みてください!ぼくの宣伝をしている看板を見つけました!
TJ PRINCE
ぼくのことです。ぼく、王子です!

嘘です。
これは会社の近くのT・JOY PRINCE シネマで撮ったんです。
お友達の手を借りて、あーでもないこーでもないと、がんばって撮ったんです。

多分、周りの人はドン引きだったと思います。

餌をやり忘れる


ぼくの持ち主はその日、お昼寝をしていました。
その時見たのは、ふくろうの夢でした。

持ち主は小さなふくろうを飼っていました。
ふくろうは、持ち主が肩をたたくと、肩に飛び乗るくらいに持ち主になついていました。
その日、持ち主が肩をたたくと、ふくろうは飛び上がりましたが、次の瞬間床に転がりました。
ふくろうは、餌をもらっていなかったので、力がでなかったのです。

びっくりした持ち主は、ふくろうの餌を探すと、餌にはびっしりカビが生えていたのでした。
ああ!自分はどれだけ餌やりを忘れていたんだ!と、持ち主は衝撃を受けたところで目を覚ましました。

その数時間後、持ち主は再びうたた寝をしていました。
その時見た夢は、黄色い鳥の夢でした。

持ち主は黄色い鳥を飼っていました。
黄色い鳥は、机の上に乗って潤んだ瞳で持ち主の方をみています。
持ち主が鳥に声をかけると、次の瞬間鳥がパタリと倒れたのです。
鳥は、餌をもらっていたなかったので、力がでなかったのです。

びっくりした持ち主は、あわてて鳥が食べられそうなものを探しました。
ああ!自分はどれだけ餌やりを忘れていたんだ!と、再び衝撃を受けたところで目が覚めました。

これ、なにかのお告げとかでしょうか。